認知症診療あれこれ見聞録 ~エンヤーコラサッ 知の泉を旅して~

日々認知症診療に携わる病院スタッフのブログです。診療の中で学んだ認知症の診断、治療、ケアについて紹介していきます。

「目」に表れる認知症の徴候(5)

前回は、心の動きや頭の働きは「目」の動きと連動していることと、自閉症スペクトラム症の気質も「目」に表れることについてお話ししました。

今回はその続きになります。

 

眠っていても、まぶたごしに「目」が動いているのは脳が活動している証拠

前回までは日中起きている時の「目」の徴候についてお話ししてきましたが、今回は寝ている時の「目」の徴候についてお話しします。

脳が活動するのは、日中覚醒している時ばかりではありません。

皆さんは眠っている人の「目」が、まぶたごしにクルクル動いているのを見たことがないでしょうか。

そういう時は、眠りが浅くなっていて、夢を見ていることも多く、脳は活発に活動しているのです。

これは前回「脳の活動性と眼球運動は連動している」とお話しした通り、「目」が動いているのは脳が活動している証拠だからです。

このように、身体は休んでいるのに脳は起きている睡眠状態のことを「REM(レム)睡眠」といいます。

そもそもREMとはRapid Eye Movementすなわち急速眼球運動を表す英語の頭文字をから名付けられました。

したがって、レム睡眠中にその名の通り「目」がクルクルと動いているのは、脳の活発な活動を反映していることになるので、当然眠りも浅くて夢を見やすくなっているのです。

 

レム睡眠行動異常」があると認知症になりやすい

さらに、このレム睡眠中に夢を見て寝言を言ったり、大声で叫んだり、手足をばたつかせたり、隣に寝ている人を叩いてしまったり、起き上がって行動を始めてしまうようなことがあります。

これは「レム睡眠行動異常(Rapid eye movement sleep Behavior Disorder;RBD)」と呼ばれており、実は認知症と密接に関連していることが分かっています。

この「レム睡眠行動異常」は、認知症を発症する10年以上も前から始まっていることが少なくなく、認知症を伴う神経変性疾患の前駆症状ともいわれているほどです。

最近の報告では「レム睡眠行動異常」があると、驚くことに発症から5年間で33%、10年間で76%、14年間で91%の症例が「αシヌクレイノパチー」を発症し、中でもパーキンソン病レビー小体型認知症に進展する頻度が高いとされています。

「αシヌクレイノパチー」とは脳の特定の部位にαシヌクレインというタンパクが蓄積して発病する神経変性疾患のことで、パーキンソン病(PD)やレビー小体型認知症(DLB)、多系統萎縮症(MSA)、進行性核上性麻痺(PSP)などがあり、これらは進行とともに認知症を合併することが多い疾患群でもあります。

そのため、夜よく夢を見てうなされたり、寝言を言ったり、身体を動かしたりするというのは、決して笑って見過ごせるようなものではなく、そのような状態を放置していると、高率で認知症を伴う神経変性疾患に移行してしまうのです。

しかし、幸いにも「レム睡眠行動異常」は投薬治療しやすい症状でもあります。

心当たりのある方は是非神経内科などを早めに受診されることをお勧めしますが、ただ夜間睡眠時の症状は本人に自覚がないことが少なくありません。

そんな場合は、周りにいる家族が本人と一緒に受診して医師に症状を伝える必要があるでしょう。

 

睡眠の質を上げることが認知症の予防と改善につながる

レム睡眠行動異常」は早期に治療を開始して、症状を抑えることができれば認知症を伴う神経変性疾患の発症を防いだり、発症を先延ばしすることができるのではないかと考えています。

実際、すでに認知症疾患を発症している場合には、「レム睡眠行動異常」を抑えることで病気の進行を遅らせたり、症状を改善させることが可能であり、そのような患者さんを多く経験しているからです。

では、なぜ「レム睡眠行動異常」を抑えて睡眠の量や質を向上させると、認知症疾患の発症や進行を予防することができるのでしょうか。

認知症疾患になると、神経伝達物質の「ドーパミン」が減ることで身体動作や思考活動などがスムースにいかなくなり、いわゆる「パーキンソン症状」が出現したり、前景化しやすくなります。

実は、この「ドーパミン」は、夜間十分な睡眠をとって「身体も脳もしっかり休む」ことで補充されることが分かっています。

そのため、夜間眠りが浅くてよく夢を見るという睡眠状態では、たとえ見た目は眠っていたとしても、脳は活動しているため、本来睡眠中に補充されるはずの「ドーパミン」が逆に消費されてしまうのです。

さらに寝言を言ったり身体を動かしてしまう状態では「ドーパミン」の消費量がもっと増えてしまいます。

したがって「レム睡眠行動異常」は、認知症疾患の発症や進行を抑えるためには、早期からしっかり治療しなければならない症状なのです。

レム睡眠行動異常」を抑えて睡眠の量や質が上がれば、寝ている間に「ドーパミン」がしっかり補充され、翌日は「パーキンソン症状」が改善するからです。

さらにスッキリして覚醒度も上がるので、意識の変容、幻覚、妄想、易怒性といったその他の認知症症状も改善しやすくなります。

そのため、認知症疾患に対する治療の第一歩は、生活習慣の改善や投薬治療を通じて、いかに夜間しっかり寝てもらうかということになります。

生活習慣の改善とは、日中はしっかり起きて昼寝は長くても30分未満にする、運動習慣を持つ、朝日を浴びるといったことです。

ただ、睡眠の質を下げてしまうのは「レム睡眠行動異常」だけに限りません。

イビキや寝言があったり、夢をよく見るというのも、脳が充分に休めていない可能性が高いのです。

そのような場合にも、生活習慣の改善と投薬治療を通じて、夜間の睡眠をしっかりとってもらうようにしています。

これは認知症の予防にもつながります。

実は認知症疾患は発症する10~20年前から始まっているといわれています。

実際、当院で認知症疾患と診断される患者さんは、10年以上前から「レム睡眠行動異常」をはじめ、イビキや寝言、夢をよく見るといった睡眠時の症状を何かしら持っているということがほとんどなのです。

これらのことから認知症疾患は、もし「発病」していたとしても、睡眠の質を上げることで「発症」を遅らせたり、予防できるのではないかと考えています。

そのため、睡眠時の症状があってもそれを放置し、夜間しっかり脳が休めていない状態を長年続けてしまうということは、間違いなく疾患の「発症」を後押ししているようなものだといえます。

したがって、健康寿命を伸ばすためには、良質な睡眠習慣を持つことが不可欠なのです。

皆さんも、イビキや寝言などと同じように、睡眠中によく「目」をクルクルと動かして夢を見ていないかどうかも目安にして、日ごろから睡眠の質について気にかけていただければと思います。(認知症と睡眠の関連については、過去記事カテゴリー「認知症と『睡眠』」の記事もご参照ください。)

 

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

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「目」に表れる認知症の徴候(4)

前回は、「目」の動きが制限されたり、指などをしっかり追視できなくなるのも認知症を伴う神経変性疾患の症状であるというお話をしました。

今回はその続きになります。

 

心の動きや頭の働きは「目」の動きと連動している

心がきれいな子供の「目」はとても澄んでいます。

「目」には、その人の意志の強さや性格、怒り、悲しみ、驚き、動揺といった心の動きが表れます。

同じように、人がものを考えている時もその様子が「目」に表れます。

例えば、何かを思い出そうとしている時には「目」が上を向いたりします。

また、集中して何かを深く考えている時にはどこか一点をじっと見つめていたり、逆に「目まぐるしく」思考をめぐらせている時には、文字通り「目が回る」ようにあちこちへ視線を動かしたりします。

まさしく「目は心の窓」であり、心の動きや頭の働きは「目」の動きと連動しています。

前回お話ししたように、認知症になると「目」の動きが制限されたり、動きが鈍くなることが少なくありません。

認知症になると合併しやすいパーキンソン症状の中にも「思考緩慢」という症状が含まれているのですが、認知症になるとどうしても心の動きや頭の働きが鈍くなります。

これらはおそらく関連しているのだと思います。

心の動きや頭の働きが鈍くなることで「目」の動きが鈍くなるのか、「目」の動きが鈍くなることで心の動きや頭の働きが鈍くなるのかは分かりません。

いずれにしても脳の活動性と眼球運動は相互に関連しあっていることは間違いなさそうです。

 

自閉症スペクトラム症の気質も「目」に表れる

以前もお話したことがありますが、実は自閉症スペクトラム症(ASD)の人には軽微なパーキンソン症状があることが多いという印象があります。

よく遭遇するのが、軽微な固縮(筋肉のこわばり)が左右差を伴ってあるために、歩行時にどちらかの手を振らなかったり、手の振り幅が小さくなっているというものです。

そして、やはり顔の表情にも軽微なパーキンソン症状が表れます。

前々回もご紹介しましたが、パーキンソン症状があると顔面の筋肉も固縮でこわばりやすくなるため、表情の変化が乏しくなったり(仮面様顔貌)、まばたきが減ったり(瞬目減少)、肌がツヤツヤと脂っぽかったり(脂漏性顔貌)、顔のシワが減っていたりするのです。

そして「目」も相対的に大きくギョロッとなっていたりします。

「爬虫類のような目」だと表現される人もいらっしゃいます。

そのような人の眉間を指でトントンと叩くと、その刺激で瞬目や眼輪筋の収縮が誘発されて「マイヤーソン徴候」が陽性となり、パーキンソン症状があることを改めて確認できたりもします。

ちなみに甲状腺機能亢進症であるバセドウ病では、眼球が突出する症状があり、そのために「目」が大きくなっている場合があります。

そのため「目」が突出していて大きく見えるような人で、とても精力的でエネルギッシュに活動しているような場合には、逆にバセドウ病が疑われたりします。

同じように上記したような「顔」や「目」の表情があって、歩く時にどちらかの手を振らなかったり、すり足だったりする場合、パーキンソン症状が出ている疑いが強くなります。

それに加えて、いわゆる「独特」な性格である場合、例えば自己中心的で空気が読めず友達が少なかったり、こだわりがあったり、音や匂いなどに過敏だったり、好き嫌いがはっきりしているなどしたら自閉症スペクトラム症が強く疑われます。

また、うつなどで精神科や心療内科への通院歴があったり、アトピーなどのアレルギーがあったり、薬に過敏だったり、一定の年齢に達してもずっと独身だったり、離婚歴があったり、転職を繰り返していたり、自営業や一人で行う仕事をしていたり、などといった場合にはさらに自閉症スペクトラム症の疑いが強まります。

このように「顔」や「目」の表情から、いくつかの病気や気質の可能性を推察することができるのです。

ただ実際、初診の患者さんが軽微なパーキンソン症状を持っている場合、それが認知症を伴う神経変性疾患に起因しているのか、もともと持ち合わせているものなのかを判断しかねることがあります。

そのような場合はMIBG心筋シンチグラフィー検査やDATスキャン検査などで鑑別するのですが、その結果、パーキンソン病などの神経変性疾患が否定された場合には、軽微なパーキンソン症状はやはり自閉症スペクトラム症が原因で出現しているのだろうと判断しています。

ちなみに自閉症スペクトラム症は、注意欠陥多動性障害ADHD)を合併していることが多いとされています。

また長年の認知症診療を通じて、ほとんどの認知症患者さんがそのベースに、程度の差はあれ自閉症スペクトラム症や注意欠陥多動性障害のいずれか、もしくは両者の気質を持ち合わせているということが分かっています。

いずれにしても「顔」や「目」の表情から、認知症を伴う神経変性疾患やその予備軍である可能性をうかがい知ることができるということです。

 

次回に続きます。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

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「目」に表れる認知症の徴候(3)

前回は「目」に表れるパーキンソン症状についてと、認知症になると「目」の動きが悪くなりやすいことについてお話ししました

今回はその続きになります。

 

「目」が上下に動きづらくなるのが進行性核上性麻痺

脳の神経障害によって眼球運動が障害される主要な疾患としては、脳血管障害や多発性硬化症、急性散在性脳脊髄炎、進行性核上性麻痺などが挙げられますが、「目」が上下に動きづらくなる「上下転制限」を合併する認知症疾患としては進行性核上性麻痺が有名です。

進行性核上性麻痺では脳幹部にある中脳被蓋部という部位が萎縮して発症するのですが、中脳は眼球運動を司(つかさど)る中枢部位でもあるため、眼球運動障害が出現しやすいのです。

また、これらの疾患の中で認知症を合併しやすいのも、脳血管障害を除くと進行性核上性麻痺になります。

進行性核上性麻痺の主な症状としては、眼球運動障害のほかに、身体のバランスが悪くなって転倒を繰り返す(姿勢反射障害による易転倒)、飲み込みが悪くなる(嚥下機能低下)、発語が不明瞭になる(構音障害)、そして認知症などが挙げられます。

進行性核上性麻痺は、病理学的には前頭側頭葉変性症(FTLD)に分類されるため、出現する認知症の症状としては、もの忘れというよりも性格変化や社会的行動の障害といった、いわゆる「前頭様症状」が目立ってきて、生活の中で色々と「我慢できない」「理性的にふるまえない」ために周りの人に迷惑をかけるというものが多くなっています。

「目」の動きが悪くなると視野が狭くなりますが、進行性核上性麻痺になると、いわばそれと同じように思考の幅や度量も狭くなってしまい、自分のやりたいことに突き進んで行ってしまうという感じがします。

そのため、一度考えついたことや、やろうと思ったことを修正するのが難しくなったり、自分の考えや行動を誰かに否定されたり、止められたりすると烈火のごとく怒り出したりもします。

動作的にも、突進するように直線的に歩くようになったりします。

それで急に止まれなくなったり、方向転換や階段を下りる時などにバランスを崩しやすくなったりするのです。

また、バランスの悪さを補おうとして立位や歩行時に両足の横幅を開いた「ワイドベース」になっていくこともあります。

このような進行性核上性麻痺のバランスの悪さは、「目」の動きの悪さと関連しているのではないかと思われます。

人はバランスを崩した時、反射的に身体を動かすことでバランスを修正し、体勢を整えます。

実はこの時「目」も反射的に、バランスを崩した方向とは逆方向へ動かし、頭部をはじめ身体全体がスムースに反応して動けるようにしています。

そのため「目」の動きが悪いと、バランスを崩した時に、姿勢を立ち直らせる身体の反応が遅れたり、スムースに身体を動かすことができなくなるのです。

また進行性核上性麻痺に限らず、全般的に「目」の動きが悪い人は、そもそも首が固くなって動かしづらくなっていることが多く、それに伴って身体全体の動きもぎこちなくなっているという印象があります。

皆さんも試してみれば分かると思いますが、「目」を固定したまま身体を動かそうとすると、首さらには身体全体の動きが制限されてバランスがとりにくくなるはずです。

つまり「目」の動きが悪いと、身体のバランスが悪くなり、転倒するリスクが高くなってしまうのです。

ましてや小刻み歩行やすり足歩行、すくみ足といったパーキンソン症状が合併している場合はなおさらです。

いずれにしても認知症になると転倒しやすくなるのは、「目」の動きが制限されやすくなるということも影響しているのだと思います。

 

指を追視できないのも認知症の症状

前回、眼球運動制限の有無を調べる時には、患者さんに顔は動かさないで「目」だけで動く指先を追って(追視して)もらうというお話をしました。

しかし何回指示しても、左右上下に動く指先を追えずに前をずっと見ていたり、途中までは追視できても勝手にパッと視線を外してしまったり、途中で止まった指先を追い越して「目」を動かしてしまうといった患者さんがいらっしゃいます。

「指先を追視する」という指示を本人が理解しているのにも関わらずです。

これは「注意障害」があるためだと考えられますが、この「注意障害」は症状によって細かく分類されています。

患者さんが指をしっかり追視できないのは、「注意障害」の中でも、いくつかある刺激の中から特定の対象や課題だけにうまく注意を向けられない「注意選択の障害」、注意を集中し続けることができない「注意集中困難・注意の持続の障害」、注意が他へ逸れやすく関係のない刺激へと引き込まれやすい「注意転導性の亢進」といった障害があるためだと思われます。

「注意障害」の責任病巣は「前頭葉」にあるとされています。

つまり「注意障害」はいわゆる「前頭葉症状」が出現している人に合併しやすいのです。

したがって、前頭側頭葉変性症はもちろん、その他の認知症でも病状が進行して病変が「前頭葉」に及んでくると、指を追視できなくなってくるのだと思われます。

そうすると、指をしっかり追視できるのかどうかは、病変が「前頭葉」に及んでいるかどうかを判断する1つの目安になるともいえます。

 

次回に続きます。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

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「目」に表れる認知症の徴候(2)

前回は、認知症疾患で高頻度に合併する「意識の変容」が疑われる「目の表情」についてお話ししました。

今回はその続きになります。

 

「目」に表れるパーキンソン症状

当院を受診されるほとんどの認知症患者さんがパーキンソン症状を合併されています。

パーキンソン症状とはパーキンソン病関連疾患(パーキンソン病レビー小体型認知症)や大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症などの神経変性疾患、正常圧水頭症、脳血管障害、一部の薬の副作用などで出現しやすい症状のことです。

具体的なパーキンソン症状としては、安静時振戦(手足の震え)、固縮(手足や体幹筋群のこわばり)、姿勢反射障害(バランス不良)、無動・動作緩慢(動作が鈍くなる・寝返りしない)、小刻み・すり足歩行、すくみ足(歩きはじめの一歩や目的地に近づくと足が出なくなる)、斜め徴候(座位や立位で身体が傾く)、自律神経障害(体温・血圧調整不良、便秘)、思考緩慢などが有名ですが、実は「顔」に表れる症状もいくつかあります。(パーキンソン症状については過去記事カテゴリー「認知症とパーキンソニズム」の記事もご参照ください。)

それらは、

・表情が乏しくなった(仮面様顔貌)

・瞬目(まばたき)が減り、目が大きい印象を与える 

・顔がテカテカしている(脂漏性顔貌)

・顔のしわが少なく、年齢より若く見える

といったものです。

パーキンソン症状があると、全身の筋肉がこわばって動きづらくなりますが、「顔」の筋肉も例外ではありません。

表情筋がこわばってしまうと、表情が乏しくなったり、皮膚がぴっちりして顔のシワが少なくなったりするのですが、「目の表情」についても、いつも目を見開いたようになって、まばたきが減ってしまうのです。

そのため、いつもびっくりしたような表情をしている人もいます。

また、脂漏性顔貌があると、いわゆるオイリーフェイスになって皮膚がツヤツヤしているようにも見えるので、目も大きくて顔のシワも少なかったりすると、実際の年齢よりずっと「若く」見えたりします。

このように「顔」には、いくつか特徴的なパーキンソン症状が表れるため、診察室に入ってきた患者さんをパッと見ただけでも、パーキンソン症状の有無や強弱について、おおよその判断ができるのです。

それで、もしパーキンソン症状があると疑われるような場合には、さらに「マイヤーソン徴候」の有無を確認します。

「マイヤーソン徴候」とは、患者さんの眉間を指先で軽くトントン叩いた時に、その刺激でまばたきや眼輪筋の収縮が誘発される徴候のことであり、パーキンソン症状があると出現します。

この徴候は比較的簡単に確認できるので、当院ではパーキンソン症状が疑われるような患者さんがいたら必ず実施しています。

皆さんも、もしパーキンソン症状が疑われるような人がいたら、是非試してみてください。

 

「目」の動きが悪い

認知症を伴う神経変性疾患では、病気の進行に伴って眼球運動が制限されることがあります。

そのため当院では、認知症外来の初診時には必ず「目」の動きをチェックしています。

やり方としては、患者さんの顔の前に人差し指を立てて指先を見てもらい、そのままゆっくり左右上下に指を動かします。

この時患者さんには、顔を動かさないようにして「目」だけで動く指先を追ってもらうのです。

それで眼球が左右上下にしっかり動くかどうかを確認します。

当院の認知症外来では、ほとんどの初診患者さんに対して「目」の動きを確認するテストを実施していますが、何かしらの眼球運動制限が合併している患者さんが半数以上の割合でいらっしゃいます。

その中で一番多く認められるのが「目」が上を向かない「上転制限」であり、それに次いで多いのが「目」が上下ともに向かない「上下転制限」になっています。

もし眼球運動を支配している脳神経に障害があれば、当然「目」の動きも制限されます。

そのため眼球運動制限が認められる場合、認知症をもたらす脳の変性が、眼球運動をつかさどる脳神経にまで及んでいることが示唆されるのです。

 

次回に続きます。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

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「目」に表れる認知症の徴候(1)

認知症があるかどうかは「目」からも気付ける

前回までの「まなざしによるケア」では、「まなざしには人を癒す大きな力が秘められている」というお話をしました。

また「目は口ほどに物をいう」というように、人は「目」という「心の窓」を通して「心の動き」を表出し、相手に多くのメッセージを発しているということもお話ししました。

今回お話ししたいのは、「目」には「心の動き」だけでなく、認知症を伴う変性疾患が疑われるような徴候もいくつか表れるということです。

そのため認知症外来の初診では「目の表情や動き」を必ず確認しています。

身近にいる人が、本人の「目の表情や動き」に違和感を覚えて受診に至るということもありますが、「目に表れる徴候」には全く気付いていないということが圧倒的に多いので、今回は「目」に表れる認知症の徴候についてご紹介していこうと思います。

 

「意識の変容」が疑われる「目の表情」

・目に力がなく、うつろな目になっている

・一点を見つめて固まっている

・ボーっとしてどこを見ているのか分からない

・テレビを観ていても、観ているのか観ていないのか分からない

「目の表情」には覚醒度が反映しますが、上記のような場合には明らかに覚醒度が下がっています。

診察中にも、たった今まで会話をしていたのに、急にスイッチが切れたように固まってしまい、呼びかけても反応しなくなったり、カクッと落ちて居眠りしてしまうような患者さんが多くいらっしゃいます。

それで「もしもし」と呼びかけたり、身体を叩いたりするとハッと我に返ったりするのです。

これまでにも何回かお話ししてきましたが、認知症の人に高頻度に合併する症状として「意識の変容」があります。

実は、上記したようなこれらの症状は「意識の変容」があるために起こっていると考えられます。

「意識の変容」とは、覚醒度が波打ってしまう症状のことであり、この症状があると起きていても意識が「はっきりしている時とボーっとしている時」が入れ替わってしまうのです。

入れ替わるスパンは人それぞれであり、秒単位、分単位、時間単位、日単位、長いと週単位で覚醒度が変動することもあります。

また、覚醒度が落ちる程度もさまざまで、ひどいと一過性の意識消失発作を起こしてしまうこともあります。

「意識の変容」があって覚醒度が落ちると、一見普通そうに見えていても、実は意識がもうろうとしており、そのために認知機能や判断力、思考力、記銘力といった精神機能も全般的に低下してしまい、当然「普段できているようなこと」もできなくなったりします。

それで「しっかりしている時とそうでない時がある」と周りの人に気付かれたり、意識が落ちている間の記憶も当然あいまいになってしまうために「もの忘れがある」と表現されたりします。

この「意識の変容」が合併しやすい病気としては、レビー小体型認知症が有名ですが、実はその他の認知症疾患でも高頻度に合併します。

しかし、高齢者では覚醒度が波打っていても、周りの人からは「ただ眠いだけだろう」だとか、「疲れているんだろう」「お年寄りだから」などと思われがちで、それほど気にされずに見過ごされてしまうことが多いようです。

しかし「認知症疾患には『意識の変容』が合併しやすく、日中も覚醒度が変動しやすい」ということを知っていれば、そのような目で上記したような症状を捉えられるようになり、大事な人の「異変」にいち早く気付くことも可能になると思います。

 

不機嫌な「目の表情」の時にも覚醒度が落ちていることがある

・目つきが険しく、眉間にしわが寄っていて不機嫌になっている

・目つきが豹変して、スイッチが入ったように激昂する(しばらくしたら何事もなかったようにケロッとしている)

このような場合にも覚醒度が落ちている可能性があります。

「意識の変容」で覚醒度が下がると、急にイライラして不機嫌になったり、怒りやすくなることがあるのです。

これは、普通の人でも眠くなると不機嫌になりやすくなるというのと同じなのかもしれません。

皆さんも、ボーっとして頭がうまく回らないような時に、周りの人からアレコレ言われたら、うっとおしくなって、普段なら我慢できることでも「うるさい!」となってしまうのではないでしょうか。

そのため、一見起きているようでも覚醒度が落ちている時には、難しい顔をして、何となく重たい雰囲気になっていることがあるのです。

そのような時には、いわゆるスイッチが入って怒りやすくなったり、妄想や幻覚の世界に入って落ち着かなくなったりもします。

そんな時の「目の表情」は、普通の時のものとは明らかに違いますので、周りにいる人が見ればすぐに分かると思います。

ちなみに「意識の変容」は「てんかん」が原因で起こる場合があります。

もし本人の覚醒度が落ちていると思われる時に、口をもぐもぐさせたり、ウロウロ歩くといった一見無意味な行動をしていたり、顔や手・足が勝手に動いていたり、ピクついたりしていたら「てんかん」が起きている可能性が非常に高くなります。

そのような症状が認められたら、すぐに専門医を受診することをお勧めします。

もし「てんかん」であれば、薬で治療できることが多く、「てんかん」による「意識の変容」が原因で二次的に認知症様の症状(もの忘れなど)が出ているのであれば、「てんかん」の治療によってそれらの症状も改善できる可能性が高いからです。

ちなみに認知症疾患によって、もの忘れが出たり、何かができなくなったような場合には「しっかりしている時とそうでない時が明らかに入れ替わる」というようなことはほとんどありません。

そのような場合にも「てんかん」が原因になっている可能性が高くなりますので、注意深く様子を観察してみて下さい。

もし治療がうまくいって「意識の変容」の症状が改善されると、あたかも憑き物がとれたように「目の表情」がスッキリして、全体的に雰囲気が軽くなったりします。

てんかん」や「意識の変容」については、これまでも繰り返しお話ししてきましたので、ご興味のある方は是非そちらもご参照ください。(→過去記事のカテゴリー「認知症と『てんかん』」「認知症と『意識の変容』」

 

次回に続きます。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

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まなざしによるケア(3)

前回は、認知症の人にとって、相手が「自分の目を見てくれないこと」は大きなストレスになるため、「目を見ない」応対は認知症の病状を悪化させたり、進行させかねないというお話をしました。

さらに「メラビアンの法則」によれば、コミュニケーションにおいて、話すしぐさや表情、視線といった「見た目」が相手の印象を決定する割合は55%もあり、言葉の理解力や記憶力の低下があって視覚情報に頼らざるを得ない認知症の人だったら、その割合はそれ以上になるのではないかということ、そして「見た目」を大きく左右するのが「顔の表情」とりわけ「目の表情」になるため、認知症ケアにおいてはやはり「相手の目を見る」ことが不可欠になるということもお話ししました。

今回はその続きになります。

 

フリードリヒ2世の実験

1740年から第3代プロイセン国王となり、優れた軍事的才能と合理的な国家経営でプロイセンの強大化に努めたフリードリヒ2世という人がいました。

ある時、フリードリヒ2世は「もし赤ん坊が言葉を一切教わらなかったら、いったいどんな言葉を話すようになるのだろうか?」という疑問を持ったそうです。

当時のヨーロッパでは捨て子が多く、そんな子供たちを修道院に入れて修道士が育てることが多かったそうですが、フリードリヒ2世は自分の疑問を確かめるべく、そんな捨て子の赤ちゃんを50人集めて隔離し、一定の条件のもとで修道士の乳母に育てさせました。

その条件とは、赤ちゃんに対いて「目を見てはいけない」「笑いかけてはいけない」「話しかけてはいけない」「その他の世話はしっかりする」というものでした。

今ではとても実施できないような非人道的な人体実験ですが、その結果はとても悲惨なものになりました。

何と50人の赤ちゃんのうち49人までもが1歳前に亡くなり、残りの1人も6歳で亡くなったというのです。

しかしながら、この実験結果は私たちに非常に大切なこと示唆しているように思います。

人から目を見つめてもらったり、話しかけられたり、笑いかけられたりすることが、言葉の分からない赤ちゃんにとっても、生きていくうえでは「なくてはならないこと」であり、もしそうしてもらわなければ死んでしまうということが分かったからです。

「人はパンのみにて生きるにあらず」というキリストの言葉もありますが、人は決して物質的なものだけで生きられるわけではないのです。

人は歳をとるにつれて、だんだん子供返りしていくと昔から言われます。

特に認知症の人は、言葉の理解力や記憶力の低下とともに、物事の分別をつけたり、理性的に行動することが難しくなったりしてきますが、そうなると本当に子供っぽくなっていきます。

フリードリヒ2世の実験から分かったのは、赤ちゃんにとって、他の人からのまなざしや声掛け、微笑みが、いわば「生きる糧」になっていたということです。

そうであるならば、子供返りしているような認知症の人にとっても、他の人からのまなざしが、赤ちゃんと同じくらい「生きる糧」になっているのではないかと思うのです。

いずれにしても相手の「目を見ない」ということは、時には人に死をもたらすほどの大きなストレスになるということです。

 

温かいまなざしが人を生かす糧になる

フリードリヒ2世の実験から分かったことの1つは、「まなざしが人を生かす糧になる」ということだと思います。

人間は本来、感情がとても豊かであり、お互いにその感情をやりとりしながら生きています。

そして人と人がやりとりしている感情は、「目」という「心の窓」からも相手に伝わります。

「あなたに生きてほしい」「あなたのことが大事ですよ」という気持ちが「目」から伝わり、それが相手に「生きる喜び」や「生きる意欲」を与えるということです。

そうすると、認知症の人に限らず、誰かと接する時に「相手の目を見ない」ということは、「生きる糧」を相手に与えたり、こちらがもらう機会を放棄することになります。

そのため、私たちは本能的にそのことを感じとり、「相手の目を見ない」ことを忌み嫌うのだと思います。

突き詰めていえば、「相手の目を見ない」ということは、自分の生存をも脅かす行為になり得るということです。

また、認知症の人の心は、世話をしている人の心を映す鏡でもあります。

ついつい忙しかったり、心に余裕がなかったりすると、相手の目を見なかったり、目つきが険しくなったりします。

するとそんな気持ちが伝わって、相手の心も窮屈になり、不安や怒りといった気持ちが生まれやすくなってしまいます。

するとその嫌な気持ちが自分に返ってきて、それがまた相手に伝わって・・・というような悪循環が起こってしまいます。

では逆に、温かいまなざしを相手に向けたらどうなるでしょうか。

きっと相手は「嬉しくて安心して穏やか」な気持ちになり、それが自分にも返ってきて、きっと「温かい」気持ちで満たされるのではないでしょうか。

温かいまなざしで見つめているのは相手であると同時に、自分自身でもあるということです。

そして温かい気持ちが相手を介して、自分をも満たしてくれるのです。

 

温かいまなざしが人を癒す

人が本当につらい時や苦しい時は、一人でいてもろくなことがありません。

そんな時は、無理をしてでも頑張って仕事に行ったりして、日常の忙しさに追われたり、他の人と何気ない会話をしたりすることで、自然に心が癒されたりします。

私は自分がつらい時や苦しい時ほど、相手の気持ちが分かったり、優しい気持ちになれたりするのですが、皆さんはいかがでしょうか。

私の場合、自分が弱っている時ほど、患者さんが心を癒してくれるのを感じます。

そんな時は、いつもより患者さんに優しい気持ちで寄り添うことができるようになり、さらにそのことで自分が癒されていくのです。

私は人をどれだけ助けることができるかということが、その人の価値を高めることになり、それが生きがいにもつながると思っています。

そして実は、誰もが本能的にそのことを感じているのではないかとも思っています。

そのため、自分がつらい時ほど相手に優しい気持ちを持てるようになったり、さらに不安で困っている相手を助けようとすることで自分が満たされて、心が癒されたりするのではないでしょうか。

衣食住が十分に満たされていたとしても、人は一人では生きていけないのです。

自分に向けられた誰かの温かな気持ちで生かされているのであり、自分の心を映す相手の心があってこそ、人は人らしく生きられるのではないかと思うからです。

そうであるならば、優しさや温かい気持ちがにじみ出るまなざしには、人を癒す大きな力があると思うのです。

 

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

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まなざしによるケア(2)

前回は、まず認知症の人は相手の表情や態度に意外と敏感であるというお話をしました。

それは、失語症状が出て相手が何を言っているのか分からなかったり、自分の置かれている状況が分からないと、会話をしている相手や周りにいる人たちの表情などから、必死にその場の状況や雰囲気だけでも探ろうとするからではないかと思われます。

また、そもそも「相手の目を見ながら会話をする」ということは「あなたのことを見てますよ」というメッセージにもなり、相手に安心感を与えることができるということですが、逆に「相手が目を見てくれない」ということは、その人に対する不信感・不安感のもとになり、本人に少なからずストレスを与えることにもなり得るとお話ししました。

今回はその続きになります。

 

「目を見ない」応対は認知症を進行させかねない

認知症の人の目を見ないことなど、大したことないのでは」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし前回お話ししたように、認知症の人は、言葉の理解力や記憶力の低下を補うために、接している相手や周りにいる人たちが「何を考えているのか」「どんな気持ちでいるのか」について、さらには場の雰囲気や流れを何とか把握しようとして、その人たちの表情の変化にとても敏感になります。

認知症の人は「顔の表情」という視覚情報に頼らざるを得ないということです。

そしてこの「顔の表情」というのは「目の表情」に依るところが大きいのではないでしょうか。

そのため、認知症の人は自分の世話をしてくれる人が目を見てくれなかったりすると、いくら口で優しく丁寧に話しかけてもらったとしても、大きな不安感を抱きかねません。

認知症の人にとって、相手が「自分の目を見てくれないこと」は大きなストレスになるのです。

それにも関わらず、こちらの認識が不足していたり、忙しかったりすると、いつも認知症の人の目をしっかり見ながら応対する、ということができなかったりします。

そもそも認知症の人はストレスに弱い傾向があり、ちょっとしたストレスでも認知症の病状を悪化させたり、進行させてしまいかねません。

そのため、認知症の人に対するケアの大原則は、できるだけ本人に「穏やかに過ごしてもらう」ということになるのですが、「目を見ない」応対は、それだけで認知症の人の心を大きく波立たせてしまい、ケアの原則にも反することにもなってしまいます。

 

メラビアンの法則

ここで、人がコミュニケーションをとる時に「見た目」がどれほど大きく影響するのか、ということを示す「メラビアンの法則」というものがありますので、それをご紹介します。

1971年にカリフォルニア大学のアルバート・メラビアンという心理学者が「感情や気持ちを伝えるコミュニケーションをする時に、どのような情報に基づいて相手の印象は決定されるのか」ということを検証しました。

そのために実施した実験で「『楽しいね』と言いながら、声のトーンは低く、不機嫌な顔をしている」というように、言葉と口調、表情・態度が矛盾している状況を何通りか作り、相手はどのような印象を抱くのかについて調べていったのです。

するとコミュニケーションにおいては、相手の印象を決定するのに「見た目」が55%、「口調」が38%、「会話の内容」が7%の割合で用いられる、ということが分かりました。

つまり、言葉でどんなに「楽しい」と言っていても、表情・態度や口調がつまらなそうであれば、「つまらなそう」という「見た目」や「口調」の印象の方が非常に強く伝わる、ということになります。

人と人とのコミュニケーションにおいては、言葉そのものの意味や会話の内容よりも、声の質や大きさ、話すテンポといった「口調」、さらには話すしぐさや表情、視線といった「見た目」の方が大きく伝わるということです。

特に「メラビアンの法則」によれば、「見た目」が相手の印象を決定する割合は55%であり、これは全体の半分以上にもなります。

「口調」を併せれば、何と全体の90%以上にもなります。

認知症の人に限らず、一般の人でも会話をしている時には、話の内容よりも口調や視線・表情によって相手の印象のほとんどが決まってしまうということです。

これは、言葉の理解力や記憶力が低下している認知症の人だったら、なおさらではないでしょうか。

したがって、認知症の人の応対をする時には「口調」や「見た目」に特に配慮する必要があるのです。

さらにいえば、「見た目」を大きく左右するのが「顔の表情」であり、その中でも特に「目の表情」が大切になると思います。

そのため、認知症の人と接する時には、こちらの表情や気持ちをしっかり伝えるためにも「相手の目を見る」ということが不可欠になるのです。

 

次回に続きます。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

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