認知症診療あれこれ見聞録 ~エンヤーコラサッ 知の泉を旅して~

日々認知症診療に携わる病院スタッフのブログです。診療の中で学んだ認知症の診断、治療、ケアについて紹介していきます。

認知症と「生活習慣」

便秘になるとボーっとなって認知症症状が悪化する(後) ~レビー小体型認知症を知れば「認知症」が理解しやすくなる(10)~

前回から、レビー小体型認知症の治療にとって中核となる「意識の変容」に対する治療の主要なアプローチ方法として③毎日から1日おきの定期的な排便習慣の確立(便秘の治療)についてお話ししていますが、今回はその続きになります。 2日出なかったら「イエ…

便秘になるとボーっとなって認知症症状が悪化する(前) ~レビー小体型認知症を知れば「認知症」が理解しやすくなる(9)~

前回までは「『睡眠不足』は『認知症』への第一歩!」と題して、認知症をはじめとする生活習慣病の予防にとっては、いかに「睡眠習慣」が大事であるかについてお話ししました。 今回からはまた「レビー小体型認知症を知れば『認知症』が理解しやすくなる」の…

「睡眠不足」は「認知症」への第一歩!(後)

「認知症」は「生活習慣病」 「生活習慣病」とは、食事や運動・喫煙・飲酒・ストレスなどの生活習慣が深く関与し、発症の原因になっている疾患の総称になります。 日本人の三大死因であるがん・脳血管疾患・心疾患、さらに脳血管疾患や心疾患の危険因子にな…

「睡眠不足」は「認知症」への第一歩!(前)

「睡眠不足」だと「認知症」になりやすくなる 前回までの「レビー小体型認知症を知れば『認知症』が理解しやすくなる(1)~(8)」でお話ししてきた概要を以下に整理してみます。 レビー小体型認知症は「意識の変容」が一番の主要な症状であり、「意識の…

睡眠を整えて「意識の変容」を改善させるための生活習慣 ~レビー小体型認知症を知れば「認知症」が理解しやすくなる(8)~

繰り返しになりますがレビー小体型認知症の中核症状である「意識の変容」を改善させるためには、良質な睡眠習慣の確立(睡眠障害の治療)が不可欠になります。 そして前回までは良質な睡眠習慣の確立(睡眠障害の治療)のために当院で実践している投薬治療に…

「リーキーガット」を予防・改善するには?⑬

前回までに「リーキーガット」を予防・改善するための対策として⑤腸粘膜の保護と修復に直接的に作用する物質を摂ることを挙げ、腸粘膜の保護と修復が期待できる栄養因子(抗酸化物質、腸粘膜の栄養素、消化酵素、乳酸菌やビフィズス菌などの菌体成分、食物繊…

「リーキーガット」を予防・改善するには?⑫

前回までに「リーキーガット」を予防・改善するための対策として⑤腸粘膜の保護と修復に直接的に作用する物質を摂ることを挙げ、腸粘膜の保護と修復が期待できる栄養因子(抗酸化物質、腸粘膜の栄養素、消化酵素、乳酸菌やビフィズス菌などの菌体成分、食物繊…

「リーキーガット」を予防・改善するには?⑪

前回までに「リーキーガット」を予防・改善するための対策として⑤腸粘膜の保護と修復に直接的に作用する物質を摂ることを挙げ、腸粘膜の保護と修復が期待できる栄養因子(抗酸化物質、腸粘膜の栄養素、消化酵素、乳酸菌やビフィズス菌などの菌体成分、食物繊…

「リーキーガット」を予防・改善するには?➉

前回までに「リーキーガット」を予防・改善するための対策として⑤腸粘膜の保護と修復に直接的に作用する物質を摂ることを挙げ、腸粘膜の保護と修復が期待できる栄養因子(抗酸化物質、腸粘膜の栄養素、消化酵素、乳酸菌やビフィズス菌などの菌体成分、食物繊…

「リーキーガット」を予防・改善するには?⑨

前回までに「リーキーガット」を予防・改善するための対策として⑤腸粘膜の保護と修復に直接的に作用する物質を摂ることを挙げ、腸粘膜の保護と修復が期待できる栄養因子(抗酸化物質、腸粘膜の栄養素、消化酵素、乳酸菌やビフィズス菌などの菌体成分、食物繊…

「リーキーガット」を予防・改善するには?⑧

前回までに「リーキーガット」を予防・改善するための対策として⑤腸粘膜の保護と修復に直接的に作用する物質を摂ることを挙げ、腸粘膜の保護と修復が期待できる栄養因子(抗酸化物質、腸粘膜の栄養素、消化酵素、乳酸菌やビフィズス菌などの菌体成分、食物繊…

「リーキーガット」を予防・改善するには?⑦

前回は「リーキーガット」を予防・改善するための対策として⑤腸粘膜の保護と修復に直接的に作用する物質を摂ることを挙げ、腸粘膜の保護と修復が期待できる栄養因子(抗酸化物質、腸粘膜の栄養素、消化酵素、乳酸菌やビフィズス菌などの菌体成分、食物繊維)…

「リーキーガット」を予防・改善するには?⑥

前回は「リーキーガット」を予防・改善するための対策として④腸内環境を整えるような食習慣を持つことを挙げ、腸内環境を整えるためには「食物繊維」「オリゴ糖」「菌体成分」などを日常的に摂取するような食習慣を持つことが大切だというお話をしました。 …

「リーキーガット」を予防・改善するには?⑤

前回は「リーキーガット」を予防・改善するための対策として③「リーキーガット」の原因となる細菌や有害物質を減らすことを挙げ、その具体的な方法として「食品添加物」や「農薬」をできるだけ摂らないことと「不溶性食物繊維」で有害物質を排出させることを…

「リーキーガット」を予防・改善するには?④

▼「リーキーガット」を予防・改善するには?④ 前回は「リーキーガット」を予防・改善するための対策として③「リーキーガット」の原因となる細菌や有害物質を減らすことを挙げ、具体的な方法として「カンジダ菌」を減らすことについてお話ししました。 今回は…

「リーキーガット」を予防・改善するには?③

前回は「リーキーガット」を予防・改善するための対策として①「リーキーガット」の原因となる食物を摂らないことに続いて②「未消化タンパク」を作らないように消化力をアップすることをお話ししました。 今回はその続きです。 ③「リーキーガット」の原因とな…

「リーキーガット」を予防・改善するには?②

前回は「リーキーガット」を予防・改善するための対策として①「リーキーガット」の原因となる食物を摂らないことを挙げ、「グルテン」と「ガゼイン」を同時に控えることがとても有効だというお話しをしました。 今回はその続きです。 ②「未消化タンパク」を…

「リーキーガット」を予防・改善するには?①

前回は、特に小麦に多く含まれる「グルテン」が「ゾヌリン」という物質を多く分泌させることで腸粘膜や脳の「血液脳関門」の「タイトジャンクション」を緩めて「異物」を侵入させやすくし、体内の至る所で「異常な免疫反応」による「炎症」が起こると「自己…

「リーキーガット」があると認知症になりやすくなる!?②

前回は、腸の細胞をしっかり密着させている「タイトジャンクション」は本来、良い栄養は入れて有害な物質を入れないように必要に応じて開いたり閉じたりしているが、小麦に多く含まれる「グルテン」(を構成する「グリアジン」)が「タイトジャンクション」…

「リーキーガット」があると認知症になりやすくなる!?①

前回は未消化の食物は「万病のもと」なので、健康のためにはしっかり胃腸をケアしながら消化力を高める食事習慣を持つことが大切だというお話をしました。 また人間が一番消化しにくいのは「タンパク質」であり、未消化の「タンパク質」が「リーキーガット症…

食事で効率良く栄養を摂るためには③

前回は日本人はもともと胃酸の分泌が不足気味で「タンパク質」の消化吸収が苦手な方が多い傾向があり、肉や魚などの「タンパク質」を効率良く消化吸収するための食事対策をいくつかご紹介しました。 そして「タンパク質」を分解して得られる「アミノ酸」は消…

食事で効率良く栄養を摂るためには②

前回は、食べた物が自分の身になるためには、 ①消化できているか? ②腸で吸収できているか? ③吸収した栄養素を運べているか? ④届けられた栄養素を使えているか? 少なくともこれらをクリアしなければならないので、単純に身体に必要な栄養素を含む食品を食…

食事で効率良く栄養を摂るためには①

前回は「低栄養状態」が認知症をはじめ様々な疾病を発症・進行させてしまう要因になりうるため、「低栄養状態」がある場合には速やかに栄養状態を改善させる必要があるが、本人に適した効率の良い栄養摂取の方法がなかなか見つからずに苦労することが多く、…

「低栄養状態」が認知症を発症・進行させる!?

最近、「低栄養状態」の高齢者が増えているということが報告されています。 これは高齢者の方に「メタボリック症候群を避けたいという意識が強く働いていること」が大きな原因になっていると考えられています。 実際、当院に通院する高齢患者さんの中にも来…

認知症改善のために「糖質制限」を導入する際の留意点

前回まで4回に渡って認知症になると甘いものを好んで食べるようになる理由についてお話しし、特に砂糖を使った甘いものを控えることが認知症の症状の改善はもちろん、あらゆる方の健康づくりにも役立つということをお伝えしました。 本日受診された前頭側頭…

認知症になると甘いものが大好きになる!?④

前回までに認知症になると甘いものが大好きになる理由を4つお話ししました。 簡単に整理しますと、 ①前頭葉機能の低下によるもの ②アルツハイマー型認知症で脳の神経細胞に見られる糖の代謝異常によるもの ③糖質の過食で引き起こされるインスリン過剰分泌に…

認知症になると甘いものが大好きになる!?③

前回までに認知症になると甘いものを好んで食べるようになってしまう理由を3つご紹介しました。 特に前回は甘いものを食べて血糖値が急激に上がるとインスリンが分泌されるけれども、インスリンは少し遅れて分泌される特徴があるため、今度は急激に血糖値が…

認知症になると甘いものが大好きになる!?②

前回、認知症になると甘いものを好んで食べるようになってしまう理由として、1つ目は前頭葉機能が落ちて甘いものを「我慢」するのが難しくなるため、2つ目はアルツハイマー型認知症では脳の神経細胞が血液中のブドウ糖をうまく取り込めなくなってエネルギ…

認知症になると甘いものが大好きになる!?①

認知症になると多くの方が甘いものを好んで食べるようになります。 甘いものなど食べなかった方が急に食べるようになったり、元々甘いものが好きだった方は輪をかけて食べるようになったりしますので、当院の初診時にチェックしていただく認知症の症状リスト…

脳と腸の密接な関係

今回は「脳と腸の密接な関係」を示唆するような、非常に興味深いマウスの実験報告がありましたのでご紹介いたします。 これは九州大学大学院医学研究院の須藤信行教授による「腸脳相関」に関する研究報告になりますが、概要を以下にまとめます。 ・腸内細菌…