前回までに認知症になると甘いものが大好きになる理由を4つお話ししました。
簡単に整理しますと、
①前頭葉機能の低下によるもの
②アルツハイマー型認知症で脳の神経細胞に見られる糖の代謝異常によるもの
③糖質の過食で引き起こされるインスリン過剰分泌による低血糖によるもの
④腸内にいるカンジタ菌の増殖によるもの
となります。
今回は残り2つの理由についてお話しします。
5つ目の理由は③と④と同様に必ずしも認知症の方に限ったものではなく、すべての方にも当てはまるものだと思います。
それは⑤「糖質が持つ依存性によるもの」です。
糖質が持つ依存性の強さは麻薬が「ハードドラッグ」と言われるのに対し、糖質は「マイルドドラッグ」と言われるほどです。
糖質を摂取した時の脳内の活動は、麻薬を摂取した時の脳内の活動と同じだと言われています。
糖質を摂ると脳内の「ドーパミン報酬系」といわれる「A10神経系」が強く刺激されて「ドーパミン」が分泌されます。
すると人間は「一時的に集中力が高まり、ストレスからの解放感」を味わうことができるため、この強い快感をもたらす糖質には麻薬と同じような「依存性」があるというのです。
「マイルドドラッグ」と言われる糖質には砂糖はもちろん炭水化物も入ります。
特に白砂糖や小麦粉など白く精製されたもの(=ブドウ糖として消化吸収されやすいもの。血糖値が上がりやすいもの)ほど強い「依存性」があるようです。
実は「マイルドドラッグ」には糖質のほか、脂質、化学調味料、炭酸飲料なども含まれるため、一説によると日本人の約5割が「マイルドドラッグ中毒」なのではないかと言われているほどです。
確かに私たちの周りには「マイルドドラッグ」が溢れています。
饅頭や羊羹、チョコレートやケーキなどの和洋菓子。
スナック菓子、ポテトフライ、ハンバーガー、ドーナツなどの脂肪分たっぷりのジャンクフード。
コーラやジュースなどの清涼飲料水。
など挙げていったらきりがありません。
実際、昔から「白米なら何杯でも食べられる」だとか、「やめられない、止まらない・・・♬」というスナック菓子のCM、「ハンバーガーとポテトにコーラがたまらない」などよく耳にします。
これらは実は「マイルドドラッグ」の「依存性」によるものだと考えられ、同時にそれらの商品はその「依存性」を利用しているのでしょう。
実際「マイルドドラッグ」の加工食品には糖質や脂質だけではなく、また食べたくなるようになるためにたくさんの「化学調味料」も使われており、それによってさらに「依存性」を強めて商品の「リピーター」を増やしているのだと思います。
つまり「リピーター」とは程度の差はあれ、その商品をまた食べたくなる「マイルドドラッグ中毒者」なのだと言えるでしょう。
さて、次が認知症になると甘いものが大好きになる理由について今回お話しする最後のものになります。
それは⑥「認知症の方の多くが持つ『過敏性』のため」です。
以前、認知症になる方はもともと薬や天候、自分の体調などに敏感で影響されやすい方が多いというお話をしました。
特に日本で2番目に多いとされるレビー小体型認知症ではその「過敏性」が主要な症状としても知られていますが、実際にはその他の認知症の方にも多く見られるため、「過敏性」はどうもレビー小体型認知症の方に限ったものではなく、認知症になる方の多くが持ち合わせている体質・器質のようだということもお話ししました。
つまり認知症の方は今回お話ししてきた①~⑤の理由にあるような、自分の身体のちょっとした変化や異変、体内で生成される神経物質、血糖の変動、腸内細菌の状態、食品が持つ性質などに対しても「敏感」で影響されやすいのだと言えます。
そのため甘いものが大好きになりやすい、甘いものをたくさん食べるようになりやすいのでしょう。
今回は4回に渡って認知症になると甘いものが大好きになる理由について6つご紹介しましたが、同時に甘いものが心身の健康に与える弊害についてもお話しできたと思います。
裏を返せば甘いものをやめたり控えたりすることができれば、認知症の症状も改善されるということですが・・・それがなかなか難しいんですよね。
しかし実際に甘いものを控えることで認知症の症状が落ち着いたケースも少なからず経験していますので、甘いものを控えることは心身の健康にとって非常に大切なことであると同時に、それは認知症の方に限ったものではないと私は確信しています。
皆さんも日頃から是非甘いものを控えて心身の健康づくりに励んでみませんか。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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