前回は、特に小麦に多く含まれる「グルテン」が「ゾヌリン」という物質を多く分泌させることで腸粘膜や脳の「血液脳関門」の「タイトジャンクション」を緩めて「異物」を侵入させやすくし、体内の至る所で「異常な免疫反応」による「炎症」が起こると「自己免疫疾患」や「アレルギー」さらには「認知症」までもが引き起こされるため、健康のためには「タイトジャンクション」をいかに良い状態に保てるかが大切だというお話をしました。
「リーキーガット」があると、そこから「未消化の食べ物」や「有害物質」「細菌」などが血管内に入り込み、脳を含めた全身に「炎症」を起こして「万病のもと」になるので、健康のためにはまず「リーキーガット」をいかに予防・改善させるかが大事なのです。
腸の粘膜では「タイトジャクション」を適切に開け閉めして「必要な栄養は取り入れて、有害な物質は入れさせない」という重要な仕事がなされています。
それが「腸は免疫器官」と言われる所以であり、やはり「健康づくりは腸から」ということになるのでしょう。
そのため腸による免疫活動をしっかり行ってもらうためにも、まずは「リーキーガット=腸漏れ」を起こす要因をいかに減らせるかが大事になります。
前回までにお話ししましたように「リーキーガット」を引き起こす要因は「グルテン」だけではありまん。
そこで今回から「リーキーガット」を予防・改善するための対策についていくつかお話ししていこうと思います。
①「リーキーガット」の原因となる食物を摂らない
そもそも「リーキーガット」を引き起こすような成分を含む食物を摂らないことが大事になります。
その筆頭が小麦に含まれる「グルテン」です。
前回お話ししたように「グルテン」に含まれる「グリアジン」が、腸粘膜の細胞と細胞の間をしっかりつなぐ「タイトジャクション」を緩めてしまう「ゾヌリン」の分泌を促すため、小麦を含む食品を食べ続けると「リッキーガット」になりやすくなります。
また「グルテン」は消化しにくい「タンパク質」であり、本来であれば「アミノ酸」という最小単位にまで分解されて腸の粘膜から吸収されるのですが、腸内環境の乱れや何らかの原因で消化酵素が減っていると分解しきれずに「未消化タンパク(ペプチド)」のままになってしまい、それらが腸粘膜を刺激して炎症が起こると腸粘膜が傷つけられて「穴」が開いてしまうのです。
そのため腸の中に「未消化タンパク」が増えるほど腸内で炎症が起こって「リッキーガット」が生じやすくなります。
対策としてはまず「『グルテン』を摂らないようにすればいい」ということになりますが、現在の私たちの食生活を見るとパンや麺類などの小麦食品で溢れかえっています。
それらを全く口にしない生活をしようと思えばできないこともないですが、かなり制約のある食生活になってしまうでしょう。
私がそうなのですが、小麦を全く摂取しない生活というのは家族と一緒に食事をすることが多い方の場合は特に難しくなると思うので、自分が食べるものに小麦が入っているかを意識しつつ、できる範囲で小麦の摂取量を減らしていくというのが現実的かもしれません。
ただ「グルテン」が健康に与える悪影響については、世間でもだんだん広く認知されてきており、最近は「グルテン」が入っていないことを示す「グルテンフリー」表示のある商品をよく見かけるようになりました。
しかし「グルテンフリー」の商品はまだ種類も少なく少々お高いものも多いので、日常的にそれらを利用し続けるのというは現実的ではないでしょう。
そうするとやはり我々日本人にとっては、昔ながらの米を主食にした日本食中心の食生活というのが「グルテンフリー」を実行するには適しているのかもしれません。
「グルテン」の次に「未消化タンパク」になりやすいものとして挙げられるのが、乳製品に含まれる「ガゼイン」です。
「ガゼイン」とは牛乳や母乳などの乳に含まれるタンパク質のことで、牛乳に含まれるタンパク質の割合は「ガゼイン:乳清タンパク質(ホエイ)=8:2」となっています。
この「ガゼイン」は「グルテン」同様に分解されにくい構造をしており、未消化のまま腸に入ると腸粘膜を傷つけて炎症を起こしてしまいます。
この炎症が繰り返し起こると、次第に腸粘膜が傷つけられて「穴」が空き「リーキーガット」になってしまうのです。
「ガゼイン」の含まれる食品としては牛乳・コーヒー牛乳などの乳飲料、ヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、生クリーム、クリームシチュー、カスタードクリームなどがありますが、成分のほとんどが脂質であるバターには「ガゼイン」が入っていないそうなので、是非参考にしてみてください。
ちなみに「ガゼイン」でやっかいなのは「アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)」にもなりやすく、「リッキーガット」によって「ガゼイン」が腸から血液内に漏れると「食物アレルギー」を起こしやすいということです。
また「アレルギー」とは違いますが、日本人に多い「乳糖不耐症」の方では牛乳に含まれる「乳糖(ラクトース)」を分解できずに下痢などの腹部症状を起こしやすいと言われています。
さらに「グルテン」と「ガゼイン」には共通していることがあります。
それは両者の「未消化タンパク」にあたるそれぞれの「ペプチド」の構造が、両者とも麻薬様物質に非常に似ており、それらが腸から漏れると脳で麻薬のように認識されてしまって「中毒性」を出してしまうということです。
実際にはあまり気づきませんが、世間にはこれらの「中毒性」のために「小麦依存」「牛乳依存」になっている方が少なくないそうです。
このような理由もあるので「リーキーガット」を予防・改善するためには「グルテン」と「ガゼイン」を同時に控えるようにするとより効果的なのです。
長くなりましたので、次回に続きます。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
↑↑ 応援クリックお願いいたします