認知症診療あれこれ見聞録 ~エンヤーコラサッ 知の泉を旅して~

日々認知症診療に携わる病院スタッフのブログです。診療の中で学んだ認知症の診断、治療、ケアについて紹介していきます。

「リーキーガット」を予防・改善するには?②

前回は「リーキーガット」を予防・改善するための対策として「リーキーガット」の原因となる食物を摂らないことを挙げ、「グルテン」と「ガゼイン」を同時に控えることがとても有効だというお話しをしました。

今回はその続きです。

 

②「未消化タンパク」を作らないように消化力をアップする

前回挙げた「グルテン」と「ガゼイン」はタンパク質の中でも特に消化しにくい構造をしており「未消化タンパク」になりやすいとお話ししましたが、そもそも「糖質」「脂質」「タンパク質」の中では「タンパク質」が一番消化しにくく、最小単位の「アミノ酸」まで消化・分解されにくいという特徴があります。

そして前述したように「未消化タンパク」は腸の粘膜を傷つけて炎症を起こし、「リーキーガット=腸漏れ」の原因となってしまうので、できるだけ「未消化タンパク」を作らないようにする必要がありますが、その対策の一つとして挙げられるのが「消化力をアップする」ことです。

 

・消化液の分泌を促す

肉や魚などの「タンパク質」を消化・分解するためには、まず胃でしっかり「胃酸」や「ペプシン」などの消化液が分泌される必要があります。

それらの分泌を促す方法としてまず挙げられるのが、食前食中に酸味のあるものを取り入れることです。

具体的には梅干し、レモン水、酢の物、ポン酢、クエン酸などが挙げられます。

皆さんも酸っぱいものを想像しただけで、唾液が出てくるというような生理現象を経験したことがあると思いますが、酸味のあるものを摂ると胃でも消化液の分泌が促されるのです。

 

・食事中の水分摂取を控える

胃でせっかく十分な消化液が分泌されたとしても、大量の水分が入ってくると消化液が薄められてしまいます。

「胃酸」は強い酸性ですが、「タンパク質」を消化・分解する消化酵素の「ペプシン」は強い酸性の中でないと十分な働きができないという性質があるため、多量の水分で「胃酸」が薄められてしまうと「タンパク質」の消化・分解が妨げられてしまいます。

ちなみに食物が胃で強い酸性にさらされることで殺菌されるという効果もあり、食中毒の予防という点においても、食事中に大量の水分を摂取することはお勧めできません。

消化力を十分に発揮するためには、水分摂取は食前の30分くらい前までにする、食事中に摂取する水分もコップ1杯くらいまでにする、食後も2~3時間くらいまでは水分摂取を控える、などが良いとされていますので是非参考にしてみてください。

 

・消化酵素を摂取する

消化酵素が不足がちな場合、食物を消化を助ける消化酵素サプリメントを摂取する方法もあります。

しかし身近な食材の中にも消化酵素を含む優秀なものがあります。

それは大根です。

大根は昔から食中毒予防や胃薬だと言われていましたが、大根には炭水化物の消化酵素であるアミラーゼとタンパク質の消化酵素であるプロチアーゼ、脂質の消化酵素であるリパーゼが含まれており、食物に含まれる三大栄養素すべての消化を強力に助けてくれるオールラウンドプレーヤーなのです。

さらに大根おろしにすると、大根の細胞膜が壊れて外に成分が出てくるので、普通に大根を食べるのに比べて3倍も効果的だそうです。

また山芋には炭水化物の消化酵素であるシアスターゼが含まれており消化を助けてくれるとともに、ネバネバの成分が胃粘膜を保護してくれるそうです。

その他、生のパイナップルの果実に含まれているブロメラインは、タンパク質分解酵素の中のシステインプロテアーゼに分類される酵素で、食肉を柔らかくするために酢豚などの料理に使われますが60℃を超えると変性して活性を失ってしまうため、生で食べなければ効果は得られません。

またキウイフルーツのアクチニジンやイチジクのフィシン、パパイヤのパパインも同様にシステインプロテアーゼに分類されるタンパク質分解酵素になっています。

これらを食事に取り入れることで食物の消化を手助けできます。

 

・食材を細かくしたり、よく咀嚼する

最後に挙げられる対策としては、そもそも消化しやすいように肉などは塊でなく細かくして食べるようにしたり、口の中でよく噛んで細かくしてから飲み込むということです。

消化しにくい「タンパク質」を物理的にできるだけ細かくしてしまうことで、胃腸で消化しやすくなるとともに、胃腸の負担を減らすことにもなります。

具体的な咀嚼の目安として「一口30回以上」とよく言われますので、これも是非参考にしてみてください。

もちろん「よく噛む」ことによって「早食い」や「食べ過ぎ」の予防にもなります。

「よく噛む」ことで満腹感も得られやすくなるため、1回に摂取する「タンパク質」の量が少なくなって消化しやすくなり「未消化タンパク」を減らすことにも繋がるからです。

本当に「よく噛む」というのは健康にとって有効であると同時に、誰でも意識すればすぐに実行できる習慣だと思います。

毎日のことですので「よく噛む」習慣を定着させるのは大変かもしれませんが、万病のもとである「リッキーガット」を減らす第一歩になりますので、是非多くの方に取り組んでいただければと思います。

 

長くなりましたので、次回に続きます。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

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