前回は「リーキーガット」を予防・改善するための対策として④腸内環境を整えるような食習慣を持つことを挙げ、腸内環境を整えるためには「食物繊維」「オリゴ糖」「菌体成分」などを日常的に摂取するような食習慣を持つことが大切だというお話をしました。
今回はその続きです。
⑤腸粘膜の保護と修復に直接的に作用する物質を摂る
前回は食事で腸内環境を整えることを通じて「リーキーガット」を予防・改善する方法をお話ししましたが、今回ご紹介するのは、腸粘膜の保護と修復に直接的に作用して「リーキーガット」を予防・改善してくれる栄養因子についてです。
腸粘膜の保護と修復が期待できる栄養因子としては抗酸化物質、腸粘膜の栄養素、消化酵素、乳酸菌やビフィズス菌などの菌体成分、食物繊維が挙げられます。
これらの栄養因子が腸の炎症や腸粘膜の酸化ストレスなどを抑えて腸粘膜バリア機能を回復してくれるのです。
前回までに消化酵素、菌体成分、食物繊維についてはお話ししましたので、ここでは抗酸化物質と腸粘膜の栄養素についてご紹介します。
・抗酸化物質
抗酸化物質を摂取することで腸粘膜が「酸化ストレス」によって損傷するのを防ぐことができます。
「酸化ストレス」とは「酸化反応(何らかの分子に酸素原子が結合すること)によって引き起こされる生体にとって有害な作用」のことで「活性酸素と抗酸化物質・抗酸化酵素とのバランス」が崩れて「活性酸素」が増えると生じやすくなります。
これは少し分かりづらいと思いますので、以下に補足してみます。
私たちは呼吸によって酸素を取り入れ、食品を食べることによって糖質、脂質、タンパク質などの栄養素を身体の中に取り込んでいますが、そもそもこれらの栄養素から必要なエネルギーを作るためには「栄養素を燃やすこと=酸化」が必要になります。
そのため「酸化」は身体中で起こっているのですが、ただ「酸化によって細胞が傷つけられること」があり、このことを「酸化ストレス」と呼びます。
「酸化ストレス」の発生に対して「抗酸化能(酸化ストレスを生じさせる活性酸素を除去する能力)」が追いつかなくなると「酸化ストレス」が溜まっていくことになります。
抗酸化能が低下する原因には、過度の運動や運動不足、偏った食事、喫煙などの不健康な生活習慣、慢性炎症などがあり、「活性酸素」の生成と消去のバランスが崩れると「酸化ストレス」が生じて老化や様々な病気の原因になるのです。
「活性酸素」とは好気性生物(酸素を利用した代謝機構を備えた生物)が酸素を消費する過程で発生する副産物のことですが、摂取した栄養素が身体の中で分解されて細胞の中にあるミトコンドリアの酸化反応によってエネルギーに変換される過程で「活性酸素」が過剰に発生してしまうと「酸化ストレス」も増加し、DNAやタンパク質などの生体成分も酸化させてしまうので、腸粘膜も傷つきやすくなります。
またこの「活性酸素」は安定した形になろうとして「フリーラジカル」と呼ばれる物質を作り出し、それが細胞に障害を起こす原因にもなります。
「フリーラジカル」も「活性酸素」同様に私たちの身体を構成する細胞を攻撃して壊してしまうので、やはり老化や様々な病気の原因になります。
このような「活性酸素」や「フリーラジカル」を消去し、「酸化ストレス」によって腸粘膜が損傷するのを防いでくれるのが抗酸化物質・抗酸化酵素になります。
抗酸化酵素は人間の体内で合成される酵素で SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)、グルタチオンペルオキシダーゼ、カタラーゼなどがあり、これらが過剰に発生した「活性酸素」や「フリーラジカル」を無毒化してくれるのです。
ただこれらの酵素を作り出す力は年齢とともに衰えていく傾向があります。
これらの酵素の主成分はどれもタンパク質なので、毎日の食事の中で良質なタンパク質をしっかり摂ることが抗酸化酵素を作り出す上でもとても大切になっています。
もう一方の抗酸化物質については、次回具体的な物質を挙げてご紹介します。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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