認知症診療あれこれ見聞録 ~エンヤーコラサッ 知の泉を旅して~

日々認知症診療に携わる病院スタッフのブログです。診療の中で学んだ認知症の診断、治療、ケアについて紹介していきます。

「リーキーガット」を予防・改善するには?⑧

前回までに「リーキーガット」を予防・改善するための対策として⑤腸粘膜の保護と修復に直接的に作用する物質を摂ることを挙げ、腸粘膜の保護と修復が期待できる栄養因子(抗酸化物質腸粘膜の栄養素消化酵素乳酸菌やビフィズス菌などの菌体成分食物繊維)のうち、抗酸化物質として非常に優秀なケルセチンについてお話ししました。

今回はその続きです。

 

抗酸化物質

b.ビタミンCビタミンE

ビタミン(有機物)はミネラル(無機物)とともに体内の酵素反応の補酵素として働いてくれる成分ですが、ビタミンCとビタミンEは強力な抗酸化物質になります。

 

「ビタミンC」は水に溶けやすい水溶性ビタミンです。

水分は身体のおよそ6割を占めているので、身体の中に「フリーラジカル」が発生した場合、水分に溶けているビタミンCがそれらが増えないように働いてくれます。

ビタミンCは果物、野菜、いも類、お茶などに多く含まれていますが、熱に弱いので野菜などに火を通す時は控えめにするなど調理法に注意が必要です。

 

「ビタミンE」は油に溶ける脂溶性ビタミンで、細胞膜や血液の中にあるコレステロールを運ぶ物質などに多く含まれています。

動脈硬化の原因といわれる悪玉コレステロールは、コレステロールが酸化されてできるものですがビタミンEがその酸化を防いでくれるそうです。

ビタミンEは動物性食品にはあまり含まれず、植物油、ナッツ類、魚などの食品に含まれています。

脂溶性なので油と組み合わせて摂ると吸収率が良くなる特徴があります。

 

c.アセチルシステイン

アセチルシステインはN-アセチルシステインやN-アセチル-L-システイン(NAC)とも呼ばれます。

アセチルシステインアミノ酸がつながってできたグルタチオンの構成要素であり、肝臓で合成される抗酸化物質になります。

グルタチオンの濃度を上昇させるためにアセチルシステインを用いると効果的であることが臨床的にも証明されていますが、アセチルシステインは残念ながら食品から摂取することはできません。

そのためサプリメントから摂取するしかないのですが、このアセチルシステインは日本では主に去痰薬として処方薬にもなっているため、日本ではサプリメントは販売されておらず、入手するには海外製のものを取り寄せるしかありません。

 

ちなみにグルタチオンは3つのアミノ酸から成る成分(トリペプチド)で代表的な抗酸化物質のひとつになっています。

グルタチオンは酸化ストレスの原因となる活性酸素から細胞を保護するので、様々な病気の改善や進行を遅らせる効果があります。

そのため米国ではグルタチオンを点滴や注射で体内に注入するグルタチオン療法が有名ですが、日本ではあまり知られていません。

グルタチオン療法が適応される症状や病気としては、慢性疲労、食欲不振や全身の倦怠感、風邪を引きやすい、気管支喘息、アレルギー、湿疹・皮膚炎・蕁麻疹などの皮膚疾患、炎症後の色素沈着、肝炎・脂肪肝・膵炎、アンチエイジングパーキンソン病などがあります。

当院でもパーキンソン病、進行性核上性麻痺、意味性認知症などの方に使用していますが、効果が出やすい人とそうでない人がいます。

グルタチオン療法の効果が出る場合は即効性があるので、注射や点滴直後から覚醒度や認知機能、動作などが明らかに改善するのですが、持続性がないのが難点で、1日から数日しか効果が持続しません。

ただ副作用がほどんどないので、内服薬で症状が改善しない場合や内服薬の副作用が出やすい方などにとっては有効な治療法になっており、症状を全体的に「底上げ」してくれます。

実際には1~2週間に1度のペースで使用している方がほとんどです。

しかしグルタチオン療法は日本では保険適応になっていないため、自費診療となり使用する用量により毎回数千円の負担しなければならないことも難点になっています。

グルタチオンはアンチエイジングでも使用されているため、グルタチオン療法を受けている患者さんは日に日に皮膚がツヤツヤしてきたりもします。

 

長くなりましたので、次回に続きます。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

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