前回まで「もの忘れ症状は除いて認知症になると出現しやすい症状」リストの10項目について1つずつお話ししてきました。
もちろんこの他にも症状はたくさんありますが、このリストに挙げた症状は特に認知症になると合併しやすい典型的な症状になります。
しかしこの10項目の症状からだけでも、初めにお話ししたように認知症の症状は実に多種多様であり、症状の強さや出現の仕方、組み合わせ、表現のされ方などは100人いたら100通りあるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
リストに挙げた症状の説明だけでも内容が多岐に渡っていますので、なかなか全てを把握するのが難しいかもしれませんが、以下に10項目の見出しとそれぞれの項目について説明した記事のリンク先をまとめましたので、是非ご活用ください。
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【認知症チェックリスト(もの忘れ症状は除く)】
https://kotobukireha.hatenablog.com/entry/2019/09/30/072328
①手の使いにくさがあり、明らかな鏡像運動が出る
(前編)https://kotobukireha.hatenablog.com/entry/2019/10/02/070221
(後編)https://kotobukireha.hatenablog.com/entry/2019/10/04/060411
②パーキンソニズム(パーキンソン症状)がある
(前編)https://kotobukireha.hatenablog.com/entry/2019/10/11/071730
(中編)https://kotobukireha.hatenablog.com/entry/2019/10/14/065124
(後編)https://kotobukireha.hatenablog.com/entry/2019/10/16/070141
③意識の変容があり、ボーッとしている時とはっきりしている時の波がある
https://kotobukireha.hatenablog.com/entry/2019/10/18/065940
④言葉の理解や発語がスムースでなかったり(失語)、人の顔や名所などが分からない(失認)
(前編)https://kotobukireha.hatenablog.com/entry/2019/10/21/065412
(後編)https://kotobukireha.hatenablog.com/entry/2019/10/23/060340
(前編)https://kotobukireha.hatenablog.com/entry/2019/10/25/060615
(後編)https://kotobukireha.hatenablog.com/entry/2019/10/28/055940
⑥自律神経障害がある
(前編)https://kotobukireha.hatenablog.com/entry/2019/10/30/060045
(後編)https://kotobukireha.hatenablog.com/entry/2019/11/01/055956
⑦前頭葉症状がある
(前編)https://kotobukireha.hatenablog.com/entry/2019/11/04/063616
(後編)https://kotobukireha.hatenablog.com/entry/2019/11/06/070545
⑧原因不明の手足の痛み・しびれ・違和感・むくみがある(特に左右差がある)
https://kotobukireha.hatenablog.com/entry/2019/11/13/060344
⑨焦燥感・不安感・うつ症状がある(ドクターショッピングをしている)
(前編)https://kotobukireha.hatenablog.com/entry/2019/11/15/060034
(後編)https://kotobukireha.hatenablog.com/entry/2019/11/18/065954
⑩幻覚(幻視・幻聴・実体意識性など)や妄想がある
(前編)https://kotobukireha.hatenablog.com/entry/2019/11/27/061054
(後編)https://kotobukireha.hatenablog.com/entry/2019/11/28/173804
※10項目中2項目以上該当する項目がある方は認知症を伴う神経変性疾患の疑いがあります
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さて、この「もの忘れ症状は除いて認知症になると出現しやすい症状」リストは「認知症チェックリスト」としても使うことができます。
実際に当院でもこの内容に沿って問診票を作成し、初診時に患者さんから全体的な症状を聞き取る時に使っています。
認知症を呈する疾患はとても多いため、適切な治療を行っていくためには、まず何の病気なのかをしっかり診断しなければいけません。
このチェックリストには認知症疾患の診断にとってポイントとなるような症状が多く含まれているので、これらの症状が「あるのか」どうか、そしてそれが「いつから」始まって「どうなってきたのか」という情報は欠かせません。
それらの「聞き取り」だけで「診断」できてしまうこともあるほどです。
そのため、実際には認知症疾患の診断のためには神経学的検査や認知機能検査、画像検査、血液検査など様々な検査をしていきますが、中でもこの「認知症チェックリスト」に沿った「問診」が一番大事になっています。
チェックリストにある具体的な症状の内容については、是非各項目の記事をご参照ください。
そして「認知症チェックリスト」に挙げた症状に心当たりがある場合は、できるだけ早く認知症専門外来を受診することをお勧めします。
何の病気でもそうですが、症状がひどくなってからだと治療の方法が限られてしまいます。
できるだけ早期に治療を始めることができれば、たとえ認知症疾患が「発病」していたとしても「発症」を遅らせたり「予防」できる可能性が高まります。
そのため「認知症診療」にとって一番大事なのは「早期診断」による「早期の治療開始」なのです。
例えば「アルツハイマー型認知症」は発症の20年前から始まっているとも言われます。
またレム睡眠行動障害などの睡眠障害は「認知症を伴う神経変性疾患」の前駆症状として15年以上前から出現しているとも言われており、早い段階で治療を開始できるとそれらの疾患に「移行しにくくなる」とも言われます。
「パーキンソン症状」も診る人が診れば、非常に早い段階で「発見」することが可能です。
たとえ何らかの「症状」が出現していたとしても、それが「発見」されなければ「診断」や「治療」に結びつくこともありません。
認知症の「症状」や「兆候」が少しでも早く「発見」されるために、この「認知症チェックリスト」が皆さんのお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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