前回は、免疫力の強化をはじめとして様々な効果を期待できるビタミンDですが、日本人では不足している人が少なくないため、ビタミンDを充足させることで、新型コロナウイルスを含むあらゆる疾患に対する免疫力の強化を期待できる人も多いのではないかというお話をしました。
今回はその続きになります。
血中ビタミンD濃度[25(OH)D]の基準値
日本人ではビタミンDが不足している人が多いということですが、では血中ビタミンD濃度が一体どれくらいあれば良いのでしょうか。
血中ビタミンD濃度を示す25(OH)Dの基準値については、充足状態が30ng/ml(75nmol/ml)以上、不足状態が20~30ng/ml(50~75nmol/ml)、欠乏状態が20ng/ml(50nmol/ml)未満とされ、国内外の見解はほぼ一致しているそうです。
ただ、ここで示されている30ng/mlというのは正常値の最低ラインであり、あらゆる疾患の予防につながる目指すべき最適値としては40~70ng/mlだとも言われています。
いずれにしても免疫力強化のために、是非ともビタミンDを体内に増やしていきたいところですが、では具体的にどのようにしていけば良いのでしょうか。
前回お話した通り、体内にビタミンDを増やす方法は(1)日光浴をする(2)食事から摂る(3)ビタミンDのサプリメントを使う、の3つがあります。
ここからは、それぞれについてご紹介していきます。
体内にビタミンDを増やすためには
(1)日光浴をする
体内のビタミンDは皮膚由来が8割で食事由来が2割
体内でのビタミンDの生成には日光に含まれる紫外線が欠かせません。
日光に含まれる紫外線B波(UVB)が皮膚に当たると、皮膚のコレステロールが分解されてビタミンD合成が促されるからです。
皮膚で生成されたビタミンDは、まず肝臓に運ばれ、そこで代謝を経て貯蔵されます。
その後、腎臓や各組織に送られて活性型ビタミンDとなり利用されることになります。
そのためビタミンDは前回お話ししたように、体内で生成できるホルモンと同じような特徴を持ったビタミンだと言えるのですが、実は食事摂取のみで体内に充足させるのはなかなか難しいと言われています。
これは体内のビタミンDは紫外線由来のものが約8割で、食事由来のものは約2割しかないとされているからですが、欧米の研究の中には食事由来のものは1割に過ぎないとする報告もあるほどです。
そのためビタミンDを体内に増やすためには、いかに日光浴で紫外線を浴びるかが大切になります。
日光浴をする時間の目安は?
日本ビタミン学会は日光浴でビタミンDを生成するには、1日当たり、夏は約30分、冬は約1時間浴びることを推奨しています。
ビタミンDの生成量には、もちろん日差しの強さや服装も関係しますが、夏の東京で真昼に半袖半ズボンの服装(肌の約10%が露出した状態)で30分間日光を浴びると約800IUのビタミンDが生成されるそうです。
また、水着姿(肌の約50%が露出した状態)では、同じ30分間で半袖半ズボン姿の5倍の約4000IUが生成されることになります。
つまり日差しの強さや日光を浴びる時間、露出している肌面積に比例して生成されるビタミンDは増えていくわけです。
ただ特に近年、しわやしみなどの美容面を気にして、夏場はもちろん、日差しが弱い季節でも日傘や長袖の服を着たり、日焼け止めを使用するなどして、できるだけ皮膚に紫外線が当たらないように気を付ける女性が多くなっています。
日焼け止めは皮膚でのビタミンD生成に必要な紫外線B波を斜断してしまいますので、前回ご紹介した報告にもあったように、若い女性でビタミンD不足が多い原因の1つになっていると思われます。
とはいえ、紫外線の浴びすぎも確かに心配になるところです。
ここでとても参考にサイトがありますのでご紹介します。
それが「国立環境研究所 地球環境研究センター」が運営している「ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報 モバイル用簡易サイト」です。
このサイトでは国内12か所の地域別に、平均的な日本人がビタミンDを10μg(=400IU;1μg=40IU)生成するために必要な紫外線照射時間を「お勧めする日光照射時間」として、またそれ以上浴びると皮膚が赤くなる(シミの原因になる)など有害になる恐れのある紅斑紫外線照射時間を「日焼けしないよう避けるべき日光照射時間」としてリアルタイムで表示しています。
また長袖長ズボンで顔と手(約600㎠)を露出した状態と、半袖半ズボン(ミニスカート)で顔と手の甲に加えて両腕、膝から下の部分(約1200㎠)を露出した状態で日光を浴びる場合の2パターンについて目安の時間が表示されるのでとても便利です。
日光浴を実践される場合には、是非このサイトを利用していただければと思います。
ちなみに直射日光を避けて木陰にいるだけでも約半分の紫外線を浴びることができますので、直接日光を浴びる場合の2倍の時間を木陰で過ごせば同じ効果が得られます。
また、ガラスは日焼け止めと同じように紫外線を通しませんので、屋内で日光を浴びる場合には窓を開けて直接日光を浴びるようにしてください。
次回に続きます。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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