認知症診療あれこれ見聞録 ~エンヤーコラサッ 知の泉を旅して~

日々認知症診療に携わる病院スタッフのブログです。診療の中で学んだ認知症の診断、治療、ケアについて紹介していきます。

ビタミンDが新型コロナ感染症の重症化を防ぐ可能性がある(9)

前回は、体内にビタミンDを増やす方法として食事から摂取する方法についてお話ししました。

ただビタミンDが豊富な食品は限られていることや、そのような食品を摂取するだけでは、体内のビタミンDを充足させることはなかなか難しいかもしれないというお話もしました。

今回はその続きになります。

 

体内にビタミンDを増やすためには

(3)ビタミンDのサプリメントを使う

サプリメントの使用が便利

前回までにお話ししてきた通り、体内にビタミンDを充足させていくためには、日常的に日光浴をしたり、ビタミンDが豊富な食品を意識的に摂る必要があります。

ただビタミンDが豊富な食品は限られていることや、ビタミンDを含む食品を一定量摂取したとしても、日光浴も積極的に行っていかないと、なかなか体内のビタミンDを充足させていくことは難しく、そのためビタミンD不足の日本人が多くなっているのだと思われます。

特に紫外線が弱く、寒いために厚着をしたり外出機会が減ってしまう冬は、ビタミンDが不足しやすくなります。

冬に風邪を引きやすいのは、ビタミンD不足によって「自然免疫」が落ちることも要因の1つになっているのかもしれません。

緯度が高い北欧では、もともと日差しが弱いうえに冬は日照時間が短くなるため、積極的に日光浴をしたり、ビタミンDが豊富な肝油やサプリメントを飲む習慣があるそうです。

日本でもビタミンDのサプリメントは比較的安価で手に入りやすいので、日常的に日光浴をしたりビタミンDが豊富な食品を摂取するのが難しい人は、サプリメントを利用した方が良いかもしれません。

 

1日当たりビタミンDをどれだけ摂取すればいいの?

「オーソモレキュラー医学ニュースサービスー日本語版『2017年のビタミンD関連論文トップ12:ビタミンDの最適用量に対する最新の見方』」によれば、血中ビタミンD濃度を示す25(OH)Dの最適濃度が30ng/ml(75nmol/ml)より高い値で40~60ng/ml(100~150nmol/ml)の間にあることはほぼ間違いない、というのが米国におけるビタミンD研究者間のコンセンサスであり、そのためには1日当たり2000~4000IU(50~100μg)のビタミンDを規則的に摂れば、健康的なビタミンD濃度の維持に役立つと考えられています。

さらに病気の時は1日5000~10000IU(75~150μg)まで用量を増やしても良いとされています。

これだけの量のビタミンDを日常的に日光浴と食事から補充していくことは、やはり現実的には難しいと思われるため、やはり効率良くビタミンDを補充できるサプリメントの併用が有効かもしれません。

 

マグネシウムの補充も忘れずに

ここで1つ注意しなくてはならないのは、いくらビタミンDが体内にたくさんあってもマグネシウムが不足していると、体内でビタミンDを活用できないということです。

マグネシウムは、カルシウム、カリウム、およびナトリウムに次いで人体の中で4番目に多いミネラルですが、体内では非常に多くの酵素が正常に働くために必要としている大切な成分になっています。

ビタミンDについても同様で、マグネシウムが不足しているとビタミンDが利用できず、体内に貯蔵されたままになってしまうのです。

そのためビタミンDだけでなくマグネシウムもしっかり摂取する必要があるのです。

ただ、実はマグネシウムも不足している人が多い成分であり、やはり日常的に意識して摂取しないといけないミネラルだと言われています。

では実際に1日当たりどれくらい摂取すれば良いのでしょうか。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」によると、マグネシウムの1日当たりの摂取推奨量は15歳以上の男性で320~370mg、女性で260~310mgとされています。

また特に1日当たりの耐容上限量は設定されていませんが、通常の食品以外から摂取する場合の上限量は、成人の場合350mgとされていますので、これらを参考にしていただければと思います。

 

「まごわやさしい」食品は身体にやさしい

ではマグネシウムが豊富な食品にはどんなものがあるのでしょうか。

マグネシウムが豊富な食品はビタミンDと違って色々とあり、その覚え方にもいくつかあるのですが、一番簡単なのが「まごわやさしい」だと思います。

以下に「まごわやさしい」に対応する食品を挙げていきますと、

「ま」:まめ類・豆腐(天然にがり使用)・納豆・きな粉・豆乳など

「ご」:ごま・五穀(玄米などの精製されていない全粒穀物類)・ナッツ類(カシューナッツ・くるみなど)

「わ」:わかめ・昆布・ひじき・海苔などの海藻類

「や」:(緑葉)やさい(特に緑色が濃いもの)

「さ」:さかな類(特に青魚や鮭)

「し」:しいたけなどのキノコ類(特に干し椎茸や乾燥きくらげなど)

「い」:いも類(じゃがいも・さつまいもなど)

となります。

この他にもそば、バナナ、とうもろこし、抹茶、ココア、卵黄などがあります。

お気づきかもしれませんが、上記したマグネシウムが豊富な青魚や鮭、干し椎茸や乾燥きくらげ、卵黄は先述したビタミンDが豊富な食品でもあります。

サプリメントを利用するのも良いですが、それだけで安心してしまうと他の重要な栄養素の摂取がおろそかになってしまう可能性があります。

そのため、やはりまずはこれらの食品を意識的に取り入れた食事習慣を持ったうえで、補助的にサプリメントを利用するというのが、ビタミンDとマグネシウムを体内に充足させていく一番健康的な方法なのかもしれません。

 

次回に続きます。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

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