前回は、体内にビタミンDを増やす方法としてサプリメントから摂取する方法とどれくらい摂取したら良いのかについてお話ししました。
ただビタミンDはマグネシウムがないと体内で利用できませんが、マグネシウムも不足しやすい成分なので、日常的に食事などから意識的に摂取する必要があることをお伝えし、1日の推奨摂取量やマグネシウムが豊富な食品の覚え方などについてもご紹介しました。
今回はその続きになります。
太陽光や紫外線が新型コロナウイルスを不活性化する!?
4月23日に米国土安全保障省は「太陽光や紫外線には、物質の表面と空気中の両方に存在する新型コロナウイルスを不活性化する作用があるとみられる」「特に直射日光に弱く、温度と湿度が高い環境下では威力が弱まる」という実験結果を公表しました。
それによると、ドアノブやステンレス製品の表面に付着したウイルスが半減するまでに要する時間は「気温21~24度で湿度20%の場合では18時間、湿度80%では6時間」であり、これに「太陽光を加えた場合は2分」まで短縮したそうです。
また空気中に浮遊したウイルスが半減するまでに要する時間は「気温21~24度で湿度20%の場合では1時間」であり、これに「太陽光を加えた場合は1分半」まで短縮したそうです。
どれくらいの強さの太陽光を実験で使用したのかなどの詳細は分かっていませんが、いずれにしても太陽光には新型コロナウイルスを不活性化する作用が期待できるようです。
紫外線C波(UVC)によるウイルスの不活性化
太陽光には波長が違うさまざまな紫外線が含まれています。
波長315~400ナノメートルの紫外線A波(UVA)と波長280~315ナノメートルの紫外線B波(UVB)と波長100~280ナノメートルの紫外線C波があります。
波長が短いほどエネルギーが高くなるため人体への影響も強くなりますが、その分到達深度が浅くなり、オゾン層や上空の雲に阻まれて地上に到達する量は少なくなります。
また、皮膚へ到達しても組織の深くまで到達できません。
地球の大気を透過して地上に到達する紫外線は主にUVAであり、真皮まで届き肌のハリや弾力を失わせてしわやたるみを引き起こす原因になります。
UVBは地上に到達する全紫外線量の約10%に過ぎず、皮膚表面の表皮までしか到達できませんが、日焼けをさせて赤く炎症を起こしたり、皮膚ガンやシミの原因になったりする一方、今回のお話の主役であるビタミンDの合成を促す働きもしてくれます。
UVCはエネルギーが強く、細胞やウイルスの遺伝物質を傷つける程度が特に強いですが、実際には大気に吸収されてほとんど地上には届きません。
照射条件にもよりますが、このUVCが10秒から数分程度で新型コロナウイルスの99.9%を不活性化できることが分かってきており、実際にバスや地下鉄車両などの消毒にUVCの紫外線ランプを使用する国も出ています。
ただUVCは人体にとっても危険なため、紫外線ランプの取り扱いには少なからず注意が必要なのですが、最近は人体にも安全な遠紫外線C波ランプが開発されているようです。
既存の紫外線ランプで生成される紫外線C波の波長は約254ナノメートルですが、それよりも少し波長が短い205〜230ナノメートルのものは遠紫外線C波と呼ばれます。
この遠紫外線C波は皮膚細胞の中まで到達できないので人体には害はありませんが、空気中や物体の表面にある細菌やウイルスは透過して不活性化させることができるそうです。
紫外線B波(UVB)にもウイルスの不活性化を期待できる
徳島大学の高橋教授がインフルエンザウイルスに対する紫外線の影響について調べた報告によると、同じコロナウイルスであるインフルエンザウイルスに対してUVAも限定的ながら効果があり、UVBは100倍の効果、UVC はさらにその5倍というデータが出ています。
またスタンレー電気のサイトによると、従来型のコロナウイルスはインフルエンザウイルスよりも3.6倍紫外線に弱いというデータが出ています。
したがってインフルエンザウイルスを不活性化させる効果は、強力なUVCには及ばないものの太陽光に含まれるUVBにも1/5程度の効果が期待できることに加え、従来型のコロナウイルスはインフルエンザウイルスよりも3.6倍紫外線に弱いことから、やはり一定量の強度と量の太陽光によって新型コロナウイルスを不活性化させる効果を十分期待できると思われます。
生命の源である太陽光が免疫力も高めてくれる
このように人間は太陽光を浴びることで、新型コロナウイルスに限らずあらゆる病気に対しても免疫力を高めてくれるビタミンDを生成するとともに、太陽光そのものにも新型コロナウイルスを不活性化させる効果が期待できる、ということが分かりました。
さらにジョージタウン大学医療センターのジェラルド・アハーン准教授によれば、ビタミンD生成を介するものとは別に、太陽光に含まれる紫外線と青色光が免疫システムの要であるT細胞を活発化させて免疫力を高める効果がある、ということが確認されたそうです。
生命の源である太陽光には、人間の健康を守る効果も期待できるということです。
植物は栄養素を生成するために「光合成」をしていますが、体内にあるビタミンDの大部分は太陽光を浴びて皮膚で生成されることから、人間もいわば「光合成」してビタミンDを得ていると言えます。
普段から屋外でたっぷりと太陽光を浴びて、肌が小麦色に日焼けしているような人を見ると、本能的に健康的だと感じますが、これは太陽光が活性化させるT細胞とともに免疫力を高めてくれるビタミンDの存在が大きく関わっているのかもしれません。
今回の新型コロナウイルス対策をきっかけに、ビタミンDが豊富な食事を摂ることはもちろん、補助的にサプリメントも併用しながら、是非生命の源である太陽光をたっぷり浴びて免疫力を高め、みんなでもっともっと健康になってしまいませんか。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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