認知症診療あれこれ見聞録 ~エンヤーコラサッ 知の泉を旅して~

日々認知症診療に携わる病院スタッフのブログです。診療の中で学んだ認知症の診断、治療、ケアについて紹介していきます。

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

高齢者ほど「和式生活のススメ」(9)

前回は、高齢者や認知症の人にとって有効な「生活動作」活用したリハビリの具体例を、それらによって「期待できる主な効果」とともに6つご紹介しました。 今回はその続きになります。 「床上動作」は認知症高齢者で衰えやすい筋群を鍛えてくれる 和式生活で…

高齢者ほど「和式生活のススメ」(8)

前回は、そもそも体力が落ちている高齢者では、身体に負荷がかかるような運動を長い時間行うのはなかなか難しいため、高齢者にリハビリを実施する際のキーワードは「低負荷・少量・頻回」になるけれども、そのような「低負荷・少量・頻回」のリハビリとして…

高齢者ほど「和式生活のススメ」(7)

前回は、高齢者では生活が不活発になると「廃用症候群」が少しずつ進行していき、それによってさらに生活が不活発になって「廃用症候群」も進行していくという「負のスパイラル」に陥りやすいため、もしそんな状態に陥ってしまったら、できるだけ早く「負の…

高齢者ほど「和式生活のススメ」(6)

前回は、何らかの原因があって過度の安静を強いられたり、日常生活の不活発や心身機能の不使用によって二次的に引き起こされる「廃用症候群」は高齢者で生じやすいけれども、これは自宅で自立した生活を送っている高齢者であっても、何らかのきっかけで生活…

高齢者ほど「和式生活のススメ」(5)

前回は「使わない機能は衰える」ことの分かりやすい例として、しゃがんだ姿勢を楽にとれない人が増えてきているけれども、これは今では洋式トイレが主流になって和式トイレを使う機会が減ってしまったことが影響しているのではないかというお話をしました。 …

高齢者ほど「和式生活のススメ」(4)

前回は、和式生活からベッドや椅子を使う洋式の生活様式に切り替わると、生活の中で床から立ち座りする機会が減ってしまい、全身の運動機能が低下しかねないというお話をしました。 実は床からの立ち座り動作というのは全身の筋力やバランス機能を多く使うた…

高齢者ほど「和式生活のススメ」(3)

前回は、人間にはもともと「神経系が環境に応じて最適の処理システムを作り上げるために、よく使われるニューロンの回路の処理効率を高め、使われない回路の効率を下げる」という「脳の可塑性」が備わっていて、「よく使う機能は強化され、使わない機能は衰…

高齢者ほど「和式生活のススメ」(2)

前回は、和式の生活様式は確かに不便で、人によっては身体に負担がかかる面があるため、高齢者では安全面を考えて洋式の生活に切り替えるケースが多いけれども、実は身体の健康維持にとって効果的な面もあるということをお話ししました。 今回はその続きにな…