認知症診療あれこれ見聞録 ~エンヤーコラサッ 知の泉を旅して~

日々認知症診療に携わる病院スタッフのブログです。診療の中で学んだ認知症の診断、治療、ケアについて紹介していきます。

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「リーキーガット」を予防・改善するには?①

前回は、特に小麦に多く含まれる「グルテン」が「ゾヌリン」という物質を多く分泌させることで腸粘膜や脳の「血液脳関門」の「タイトジャンクション」を緩めて「異物」を侵入させやすくし、体内の至る所で「異常な免疫反応」による「炎症」が起こると「自己…

「リーキーガット」があると認知症になりやすくなる!?②

前回は、腸の細胞をしっかり密着させている「タイトジャンクション」は本来、良い栄養は入れて有害な物質を入れないように必要に応じて開いたり閉じたりしているが、小麦に多く含まれる「グルテン」(を構成する「グリアジン」)が「タイトジャンクション」…

「リーキーガット」があると認知症になりやすくなる!?①

前回は未消化の食物は「万病のもと」なので、健康のためにはしっかり胃腸をケアしながら消化力を高める食事習慣を持つことが大切だというお話をしました。 また人間が一番消化しにくいのは「タンパク質」であり、未消化の「タンパク質」が「リーキーガット症…

食事で効率良く栄養を摂るためには③

前回は日本人はもともと胃酸の分泌が不足気味で「タンパク質」の消化吸収が苦手な方が多い傾向があり、肉や魚などの「タンパク質」を効率良く消化吸収するための食事対策をいくつかご紹介しました。 そして「タンパク質」を分解して得られる「アミノ酸」は消…

食事で効率良く栄養を摂るためには②

前回は、食べた物が自分の身になるためには、 ①消化できているか? ②腸で吸収できているか? ③吸収した栄養素を運べているか? ④届けられた栄養素を使えているか? 少なくともこれらをクリアしなければならないので、単純に身体に必要な栄養素を含む食品を食…

食事で効率良く栄養を摂るためには①

前回は「低栄養状態」が認知症をはじめ様々な疾病を発症・進行させてしまう要因になりうるため、「低栄養状態」がある場合には速やかに栄養状態を改善させる必要があるが、本人に適した効率の良い栄養摂取の方法がなかなか見つからずに苦労することが多く、…

「低栄養状態」が認知症を発症・進行させる!?

最近、「低栄養状態」の高齢者が増えているということが報告されています。 これは高齢者の方に「メタボリック症候群を避けたいという意識が強く働いていること」が大きな原因になっていると考えられています。 実際、当院に通院する高齢患者さんの中にも来…

「糖質制限」は「意識の変容」の改善に効果的!?②

前回は「糖質制限」を続けて体内の「ブドウ糖」が不足してくると、「ブドウ糖」の代わりに「ケトン体」が主なエネルギー源として利用されるようになり、「ケトン体」が体内に増えると「てんかん」発作が起こりにくくなるので、「糖質制限」が食事療法として…

「糖質制限」は「意識の変容」の改善に効果的!?①

前回は「糖質制限」は認知症治療にとって有効なものではありますが、決して万能なものではなく人によっては悪化する場合もあること、効果を見極めながら一定期間はどっしり腰を据えて取り組む必要があることについてお話ししました。 今回は認知症の主要な症…

認知症改善のために「糖質制限」を導入する際の留意点

前回まで4回に渡って認知症になると甘いものを好んで食べるようになる理由についてお話しし、特に砂糖を使った甘いものを控えることが認知症の症状の改善はもちろん、あらゆる方の健康づくりにも役立つということをお伝えしました。 本日受診された前頭側頭…

認知症になると甘いものが大好きになる!?④

前回までに認知症になると甘いものが大好きになる理由を4つお話ししました。 簡単に整理しますと、 ①前頭葉機能の低下によるもの ②アルツハイマー型認知症で脳の神経細胞に見られる糖の代謝異常によるもの ③糖質の過食で引き起こされるインスリン過剰分泌に…

認知症になると甘いものが大好きになる!?③

前回までに認知症になると甘いものを好んで食べるようになってしまう理由を3つご紹介しました。 特に前回は甘いものを食べて血糖値が急激に上がるとインスリンが分泌されるけれども、インスリンは少し遅れて分泌される特徴があるため、今度は急激に血糖値が…

認知症になると甘いものが大好きになる!?②

前回、認知症になると甘いものを好んで食べるようになってしまう理由として、1つ目は前頭葉機能が落ちて甘いものを「我慢」するのが難しくなるため、2つ目はアルツハイマー型認知症では脳の神経細胞が血液中のブドウ糖をうまく取り込めなくなってエネルギ…