認知症診療あれこれ見聞録 ~エンヤーコラサッ 知の泉を旅して~

日々認知症診療に携わる病院スタッフのブログです。診療の中で学んだ認知症の診断、治療、ケアについて紹介していきます。

免疫力を強化して新型コロナと向き合おう(1)

今回からは、認知症診療のお話からは一旦離れて、今世界で歴史的な大流行と大混乱を巻き起こしている新型コロナウイルスについて、最近の知見を踏まえて個人的な見解をお話ししていこうと思います。

 

はじめに

今回の新型コロナウイルス感染症への対応は、おそらく長期戦を覚悟しないといけません。

ただ、この世界的な危機に瀕することで、多くの人が「生きていくうえで本当は何が大切なのか?」「真実は何なのか?」といった人生の根源的な宿題を、再度目の前に引っ張り出してきているのではないでしょうか。

そして個人的には幸か不幸か、今回の騒動によって世の中の価値観が大きく変わるような、そんなまさに時代の転換期を今生きているんだという感じがしています。

社会の多くの分野や業界は今まで、様々な既得利権によっていわば「がんじがらめ」にされていたのではないでしょうか。

そんな中で、多くの人が不本意にしろ個人や企業の利潤を最優先する風潮に流され、「大切なもの」から目を背けて「思考停止」に陥っていたという面があることも否めません。

医療業界も例外ではなく、今回の騒動をきっかけに改めるべきは改めていかなければなりません。

新型コロナウイルスは今までの医療のあり方に、システム面についても診療の中身についても待ったなしの課題を突きつけています。

診療の中身について言えば、いわばウイルスや病気を敵とみなして攻撃するような西洋型の医療や薬の時代は終わり、「自然免疫」を高めながらそれらと一緒に共生することを目指す時代になるのかもしれません。

新型コロナウイルスは、どうも今までの医療の考え方では対応できない性格を持ち合わせているのではないかと思われるからです。

そうすると漢方薬サプリメントはもちろん、医食同源というように「何を食べているのか」さらには「どんな生活習慣を持っているのか」ということが、心身の健康にとってはやはり一番大事なことなんだと、医療の世界でも大きく再認識されていくのではないかと思っています。

 

新型コロナウイルスは変異しやすい

新型コロナウイルスは、ゲノム(遺伝情報の全体・総体のこと)としてリボ核酸(RNA)をもつ一本鎖プラス鎖RNAウイルスになります。

コロナウイルスの表面にはエンベロープ(膜構造)と呼ばれる花弁状の長い突起が多数あり、それがコロナ(太陽の光冠)に似ていることからその名が付けられました。

一般的にウイルスには細胞膜がなく、遺伝子であるDNAやRNAがタンパク質で包まれた構造になっています。

そして全般的にコロナウイルスは、大きなRNAを持っているため変異を起こしやすいと言われています。

今回の新型コロナウイルスのゲノムサイズは約26~32キロベース(kb)とされ、RNAウイルスとしては最大のものだそうです。

これは、インフルエンザウイルスのゲノムサイズが9kb程度、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が14kb程度であるのに比べると非常に大きいと言えます。

ゲノムサイズが大きいということは、増殖して複製を作る時に遺伝情報のコピーや組み換え時にエラーが生じやすいということになります。

さらに新型コロナウイルスはゲノムが一本鎖の構造をしています。

DNAのゲノムが二重らせん構造であることはよく知られています。

そのため、もし遺伝子情報のコピーミスをしても一方のラインの情報によって修正できるので、複製エラーは起こりにくいのですが、RNAは一本鎖であるためそれができません。

さらに新型コロナウイルスは複製のスピードが速いため、複製時のミスも起こりやすいとされています。

これらの複数の要因が重なっているために、新型コロナウイルスは特に変異体が生じやすいと言われているのです。

 

新型コロナウイルスは変異し続けている

ある研究報告によると「COVID-19パンデミックが世界中で蔓延しているため、コロナウイルスの遺伝子データが平均15日ごとに変異している(SCIENCE/CORONAVIRUS COVERAGE/How coronavirus mutations can track its spread—and disprove conspiracies)」そうです。

つまり新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、現在進行形で新たな変異株がどんどん生まれている可能性が高いのです。

そのため、現在のPCR検査などの診断では、これらのウイルス菌株のいくつかについては特定するのが正確でなくなるため、新たな方法で診断を行う必要があるかもしれないと指摘されている方もいます。

ただいくら新しい変異株が次々に生まれたとしても、今年2月までの研究報告では、ウイルスの特徴が変わるほどの組換えによる明らかな変異は検出されていないし、仮に明らかな変異があったとしてもウイルスの病原性に影響を与えなければ問題はないとされていました。

そして実際にウイルスの病原性を機能的に変化させるような直接的な変異は発見されていなかったのですが、最近になってウイルスの病原性までもが変化した新たな変異株が複数見つかったという研究報告が出てきたのです。

 

次回に続きます。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

にほんブログ村 介護ブログ 認知症へ
にほんブログ村

↑↑ 応援クリックお願いいたします

f:id:kotobukireha:20190702092414j:plain