認知症診療あれこれ見聞録 ~エンヤーコラサッ 知の泉を旅して~

日々認知症診療に携わる病院スタッフのブログです。診療の中で学んだ認知症の診断、治療、ケアについて紹介していきます。

認知症とパーキンソニズム

「目」に表れる認知症の徴候(2)

前回は、認知症疾患で高頻度に合併する「意識の変容」が疑われる「目の表情」についてお話ししました。 今回はその続きになります。 「目」に表れるパーキンソン症状 当院を受診されるほとんどの認知症患者さんがパーキンソン症状を合併されています。 パー…

認知症治療薬の副作用について

前回は認知症治療によく使われる向精神薬や認知症治療薬の中には、薬剤性パーキンソニズムを生じさせてしまうようなものが少なくないというお話をしました。 そこで今回は認知症治療に多用されている抗認知症薬の副作用についてお話ししたいと思います。 現…

認知症治療と薬剤性パーキンソニズム

前回は、薬の副作用で生じる薬剤性パーキンソニズムは頻繁に遭遇するものであり、投薬治療においてはいかに薬剤性パーキンソニズムを生じさせないようにするかが常に大きな課題になっているというお話をしました。 今回は「認知症治療と薬剤性パーキンソニズ…

パーキンソン症状を生じさせる疾患や原因

前回まで「パーキンソン症状」を主訴に受診された「発達障害」傾向のある症例を3ケースご紹介しました。 今回は「パーキンソン症状」を生じさせる疾患や原因について整理してみたいと思います。 「パーキンソン症状」は「パーキンソニズム」とも呼ばれます…

「パーキンソン症状」を主訴に受診された「発達障害」傾向のある症例(その3)

前回に引き続き今回も「パーキンソン症状」を主訴に受診された「発達障害」傾向のある症例についてお話しします。 3番目の症例は70代の男性で「めまい」を主訴に来院されました。 職業は理容師であり、現在も理髪店を経営されています。 「めまい」は10…

「パーキンソン症状」を主訴に受診された「発達障害」傾向のある症例(その2)

前回に引き続き今回も「パーキンソン症状」を主訴に受診された「発達障害」傾向のある症例についてお話しします。 2番目の症例は「ふらつき」と「もの忘れ」があることを心配して家族に連れて来られた70代の女性です。 屋外独歩は自立しているけれども、…

「パーキンソン症状」を主訴に受診された「発達障害」傾向のある症例(その1)

前回はASD(自閉症スペクトラム障害)特性があると軽度のパーキンソン症状を合併しやすいというお話をしました。 今回は明らかなパーキンソン症状があるので各種画像検査を実施したけれども異常所見が認められず、実は神経変性疾患によってではなくASD…

ASD(自閉症スペクトラム障害)とパーキンソン症状

以前ご紹介した「認知症チェックリスト」の項目にもあるように、多くの認知症疾患で「パーキンソン症状」が合併します。 そのため認知症外来においては、軽微なパーキンソン症状であってもいかに見つけることができるかが非常に大事なのです。 そのため当院…

②パーキンソニズム(パーキンソン症状)がある【認知症チェックリスト】(後)

前回は、主にパーキンソニズムの「固縮」と「姿勢反射障害」について取り上げました。 今回はその続きです。 ************************************************************************************************** ②パーキンソニズム(パーキンソン症状)…

②パーキンソニズム(パーキンソン症状)がある【認知症チェックリスト】(中)

前回は、パーキンソニズムが認知症を伴う神経変性疾患に合併しやすいこと、そのため早期診断・治療のために軽微なパーキンソニズムでも察知することが大切であること、パーキンソニズムの出現には神経伝達物質のドーパミンが関与していることなどをお話しし…

②パーキンソニズム(パーキンソン症状)がある【認知症チェックリスト】(前)

前々回と前回は、もの忘れを除いて認知症になると出現しやすい症状リストの説明からは一旦離れて「認知症と発達障害」の関連性についてお話ししました。 今回からまた症状リストの説明に戻ります。 今回は「②パーキンソニズム(パーキンソン症状)がある」で…