認知症診療あれこれ見聞録 ~エンヤーコラサッ 知の泉を旅して~

日々認知症診療に携わる病院スタッフのブログです。診療の中で学んだ認知症の診断、治療、ケアについて紹介していきます。

2019-01-01から1年間の記事一覧

④言葉の理解や発語がスムースでなかったり(失語)、人の顔や名所などが分からない(視覚性失認)【認知症チェックリスト】(前)

前回までは、もの忘れを除いて認知症になると出現しやすい症状③の「意識の変容」についてお話ししました。 今回は「④言葉の理解や発語がスムースでなかったり(失語)、人の顔や名所などが分からない(視覚性失認)」についてです。 ***********************…

③意識の変容があり、ボーッとしている時とはっきりしている時の波がある【認知症チェックリスト】

前回までは、もの忘れを除いて認知症になると出現しやすい症状②の「パーキンソニズム」についてお話ししました。 今回は「③意識の変容があり、ボーッとしている時とはっきりしている時の波がある」についてです。 *****************************************…

②パーキンソニズム(パーキンソン症状)がある【認知症チェックリスト】(後)

前回は、主にパーキンソニズムの「固縮」と「姿勢反射障害」について取り上げました。 今回はその続きです。 ************************************************************************************************** ②パーキンソニズム(パーキンソン症状)…

②パーキンソニズム(パーキンソン症状)がある【認知症チェックリスト】(中)

前回は、パーキンソニズムが認知症を伴う神経変性疾患に合併しやすいこと、そのため早期診断・治療のために軽微なパーキンソニズムでも察知することが大切であること、パーキンソニズムの出現には神経伝達物質のドーパミンが関与していることなどをお話しし…

②パーキンソニズム(パーキンソン症状)がある【認知症チェックリスト】(前)

前々回と前回は、もの忘れを除いて認知症になると出現しやすい症状リストの説明からは一旦離れて「認知症と発達障害」の関連性についてお話ししました。 今回からまた症状リストの説明に戻ります。 今回は「②パーキンソニズム(パーキンソン症状)がある」で…

認知症と発達障害(後)

前回は、発達障害傾向のある方は鏡像運動が出やすいこと、発達障害の方が未診断のまま高齢になり認知症に移行していくケースが少なくないのではないかということ、自閉症スペクトラム障害(ASD)タイプと注意欠陥多動性障害(ADHD)タイプそれぞれの…

認知症と発達障害(前)

前回は、もの忘れを除いて認知症になると出現しやすい症状①の項目後半にある「鏡像運動」についてご説明しました。 その中で、鏡像運動はパーキンソン病や大脳皮質基底核症候群といった変性疾患や脳梗塞後遺症などの一部の疾患群で認められるものであり、定…

①手の使いにくさがあり、明らかな鏡像運動が出る【認知症チェックリスト】(後)

前回は、もの忘れを除いて認知症になると出現しやすい症状①の項目前半にある「手の使いにくさ」についてご説明しました。 また「脳の可塑性」を活用すれば、年齢に関係なく認知機能を含めた身体全体の機能を維持・向上させることが十分可能であり、特に手や…

①手の使いにくさがあり、明らかな鏡像運動が出る【認知症チェックリスト】(前)

前回は、もの忘れを除いて認知症になると出現しやすい症状をリストにしてご紹介しました。 このリストは認知症のチェックリストとしても利用できますが、各項目の内容で分かりづらい点もあるかと思いますので、今回から①~➉の各項目について順番にお話しして…

こんな症状があったら認知症が疑われます【認知症チェックリスト】

日々の認知症診療では、本当に多種多様な認知症の症状を経験しますが、症状の強さや出現の仕方、組み合わせなどは100人いたら100通りあります。 もちろんもの忘れ症状は多くの方にありますが、その他にも出現頻度の高い症状がいくつかあるのです。 た…

「リーキーガット」を予防・改善するには?⑬

前回までに「リーキーガット」を予防・改善するための対策として⑤腸粘膜の保護と修復に直接的に作用する物質を摂ることを挙げ、腸粘膜の保護と修復が期待できる栄養因子(抗酸化物質、腸粘膜の栄養素、消化酵素、乳酸菌やビフィズス菌などの菌体成分、食物繊…

「リーキーガット」を予防・改善するには?⑫

前回までに「リーキーガット」を予防・改善するための対策として⑤腸粘膜の保護と修復に直接的に作用する物質を摂ることを挙げ、腸粘膜の保護と修復が期待できる栄養因子(抗酸化物質、腸粘膜の栄養素、消化酵素、乳酸菌やビフィズス菌などの菌体成分、食物繊…

「リーキーガット」を予防・改善するには?⑪

前回までに「リーキーガット」を予防・改善するための対策として⑤腸粘膜の保護と修復に直接的に作用する物質を摂ることを挙げ、腸粘膜の保護と修復が期待できる栄養因子(抗酸化物質、腸粘膜の栄養素、消化酵素、乳酸菌やビフィズス菌などの菌体成分、食物繊…

「リーキーガット」を予防・改善するには?➉

前回までに「リーキーガット」を予防・改善するための対策として⑤腸粘膜の保護と修復に直接的に作用する物質を摂ることを挙げ、腸粘膜の保護と修復が期待できる栄養因子(抗酸化物質、腸粘膜の栄養素、消化酵素、乳酸菌やビフィズス菌などの菌体成分、食物繊…

「リーキーガット」を予防・改善するには?⑨

前回までに「リーキーガット」を予防・改善するための対策として⑤腸粘膜の保護と修復に直接的に作用する物質を摂ることを挙げ、腸粘膜の保護と修復が期待できる栄養因子(抗酸化物質、腸粘膜の栄養素、消化酵素、乳酸菌やビフィズス菌などの菌体成分、食物繊…

「リーキーガット」を予防・改善するには?⑧

前回までに「リーキーガット」を予防・改善するための対策として⑤腸粘膜の保護と修復に直接的に作用する物質を摂ることを挙げ、腸粘膜の保護と修復が期待できる栄養因子(抗酸化物質、腸粘膜の栄養素、消化酵素、乳酸菌やビフィズス菌などの菌体成分、食物繊…

「リーキーガット」を予防・改善するには?⑦

前回は「リーキーガット」を予防・改善するための対策として⑤腸粘膜の保護と修復に直接的に作用する物質を摂ることを挙げ、腸粘膜の保護と修復が期待できる栄養因子(抗酸化物質、腸粘膜の栄養素、消化酵素、乳酸菌やビフィズス菌などの菌体成分、食物繊維)…

「リーキーガット」を予防・改善するには?⑥

前回は「リーキーガット」を予防・改善するための対策として④腸内環境を整えるような食習慣を持つことを挙げ、腸内環境を整えるためには「食物繊維」「オリゴ糖」「菌体成分」などを日常的に摂取するような食習慣を持つことが大切だというお話をしました。 …

「リーキーガット」を予防・改善するには?⑤

前回は「リーキーガット」を予防・改善するための対策として③「リーキーガット」の原因となる細菌や有害物質を減らすことを挙げ、その具体的な方法として「食品添加物」や「農薬」をできるだけ摂らないことと「不溶性食物繊維」で有害物質を排出させることを…

「リーキーガット」を予防・改善するには?④

▼「リーキーガット」を予防・改善するには?④ 前回は「リーキーガット」を予防・改善するための対策として③「リーキーガット」の原因となる細菌や有害物質を減らすことを挙げ、具体的な方法として「カンジダ菌」を減らすことについてお話ししました。 今回は…

「リーキーガット」を予防・改善するには?③

前回は「リーキーガット」を予防・改善するための対策として①「リーキーガット」の原因となる食物を摂らないことに続いて②「未消化タンパク」を作らないように消化力をアップすることをお話ししました。 今回はその続きです。 ③「リーキーガット」の原因とな…

「リーキーガット」を予防・改善するには?②

前回は「リーキーガット」を予防・改善するための対策として①「リーキーガット」の原因となる食物を摂らないことを挙げ、「グルテン」と「ガゼイン」を同時に控えることがとても有効だというお話しをしました。 今回はその続きです。 ②「未消化タンパク」を…

「リーキーガット」を予防・改善するには?①

前回は、特に小麦に多く含まれる「グルテン」が「ゾヌリン」という物質を多く分泌させることで腸粘膜や脳の「血液脳関門」の「タイトジャンクション」を緩めて「異物」を侵入させやすくし、体内の至る所で「異常な免疫反応」による「炎症」が起こると「自己…

「リーキーガット」があると認知症になりやすくなる!?②

前回は、腸の細胞をしっかり密着させている「タイトジャンクション」は本来、良い栄養は入れて有害な物質を入れないように必要に応じて開いたり閉じたりしているが、小麦に多く含まれる「グルテン」(を構成する「グリアジン」)が「タイトジャンクション」…

「リーキーガット」があると認知症になりやすくなる!?①

前回は未消化の食物は「万病のもと」なので、健康のためにはしっかり胃腸をケアしながら消化力を高める食事習慣を持つことが大切だというお話をしました。 また人間が一番消化しにくいのは「タンパク質」であり、未消化の「タンパク質」が「リーキーガット症…

食事で効率良く栄養を摂るためには③

前回は日本人はもともと胃酸の分泌が不足気味で「タンパク質」の消化吸収が苦手な方が多い傾向があり、肉や魚などの「タンパク質」を効率良く消化吸収するための食事対策をいくつかご紹介しました。 そして「タンパク質」を分解して得られる「アミノ酸」は消…

食事で効率良く栄養を摂るためには②

前回は、食べた物が自分の身になるためには、 ①消化できているか? ②腸で吸収できているか? ③吸収した栄養素を運べているか? ④届けられた栄養素を使えているか? 少なくともこれらをクリアしなければならないので、単純に身体に必要な栄養素を含む食品を食…

食事で効率良く栄養を摂るためには①

前回は「低栄養状態」が認知症をはじめ様々な疾病を発症・進行させてしまう要因になりうるため、「低栄養状態」がある場合には速やかに栄養状態を改善させる必要があるが、本人に適した効率の良い栄養摂取の方法がなかなか見つからずに苦労することが多く、…

「低栄養状態」が認知症を発症・進行させる!?

最近、「低栄養状態」の高齢者が増えているということが報告されています。 これは高齢者の方に「メタボリック症候群を避けたいという意識が強く働いていること」が大きな原因になっていると考えられています。 実際、当院に通院する高齢患者さんの中にも来…

「糖質制限」は「意識の変容」の改善に効果的!?②

前回は「糖質制限」を続けて体内の「ブドウ糖」が不足してくると、「ブドウ糖」の代わりに「ケトン体」が主なエネルギー源として利用されるようになり、「ケトン体」が体内に増えると「てんかん」発作が起こりにくくなるので、「糖質制限」が食事療法として…